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一刀両断 実践者の視点から【第217回】

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教育行政機関の弱み

 《教委いじめ担当部署「全員が教員出身」53%、「身内意識で対応甘くなる」指摘も…》という見出しの記事が読売新聞に載った。
 千葉大の藤川大祐教授は「現場に詳しい教員出身者は一定数必要だが、身内意識から対応が甘くなり、調査の中立性や専門性に欠ける」「法令に詳しく、客観的に対応できる行政職員を置き、教員出身者に目を光らせるべきだ」といったコメントを寄せている。
 確かにもっともである。こうした認識は誰でも持つだろうが、何故そうならないのかは指摘されていない。
 一つは資金面の問題がある。教育委員会は出先機関であって軽視され、人件費ばかりがかかる金食い虫のように行政担当は認識している。予算を増額する英断を下す首長はほぼ皆無なのである。
 教育行政機関を新たに設けても、既存の機関の統合や、職員の兼務でやり過ごしている実態を指摘すべきなのである。
 県に幼児教育センターを作ったとされた事があったが、席は一つで電話もなくパートの元園長が担当していた。ほとんどの首長はこうした体たらくをしているのである。理想を言うのは悪くはないが、現場を知らない遠吠えになっているようで情けない限りである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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