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一刀両断 実践者の視点から【第679回】

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論説・コラム

危機管理と経験

 東京都立川市の小学校に男が侵入して暴行事件を起こした。驚いたが、どの学校でも起きかねない暴挙である。今後、詳細がはっきりするだろうが、現時点では対処のしようはあまり浮かばない。
 揉め事が放置して収束する場合と加熱する場合がある。この判断は経験や雰囲気から読み取らねばならないが、概して平穏な生活の中で生活している教師には、その危険を予知する事は極めて困難なものがある。
 今回のケースは想定外であったとは思うが、経験からすると予知できたかもしれない要素がある。
 かつて児童への体罰が疑われた親を校長室へ呼び寄せた事があった。刑務所から出てきたばかりだという。両手の小指は欠損していた。
 子どもを叩いた事は認めた。同じ人生を歩ませたくなかったら、私の言う指示を守って毎週、学校に通うように約束した。
 その後3ヶ月目には保護者会にも参加するように変化したが、これは稀な例かもしれない。
 危機管理は経験しか役に立たない事もある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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