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「新しい生徒会」の教科書 学校を変え、社会を変えるためのヒント

16面記事

書評

高橋 亮平・西野 偉彦・猪股 大輝・一般社団法人生徒会活動支援協会 著
国内外の優良・先進事例は

 最近、校則改正などには注目が集まっているが、多くの学校で生徒会活動が形骸化している。本書は「新しい生徒会」の形を考えるために書かれた。著者らは、一般社団法人生徒会活動支援協会のメンバー。生徒会活動の本質的な意義に着目し、質の向上とともに、学校だけでなく地域社会における「こども・若者参画社会」の実現のため活動している。
 本書の中で、日本の生徒会活動の課題を五つ挙げている。それは、

 (1)生徒会活動が一部の生徒会役員の活動になっている
 (2)ルールの見直しなどが教員主導である
 (3)生徒が生徒会の予算編成に関われない
 (4)学校の中に民主的な仕組みが作られていない
 (5)生徒との関係性や距離感など生徒会顧問の関わり方が分からない

 ―である。多くの学校で思い当たるのではないか。この課題に関し、各地の優良事例を紹介している。
 さらに世界の生徒会先進事例も示す。ドイツやスウェーデンでは、生徒会の全国組織も活発で、ロビー活動も行っている。その根底には「学校民主主義」がある。
 評者も海外視察でオランダの学生組織を見学したが、同じようにロビー活動をし、組織の出身者が日本でいう文科省の幹部になるそうだ。最後に新しい生徒会として、地域生徒会や全国組織の構築を提言している。海外の例と比較すると日本はまだ民主主義後進国なのだろうか。
(2750円 旬報社)
(中村 豊・前公益社団法人日本教育会事務局長)

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