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東女体大の「部活動マネジメント演習」 学生を指導者として派遣

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 東京女子体育大学(東京・国立市)は本年度から、授業の一環で学生を部活動指導員として派遣する「部活動マネジメント演習」を開講している。指導者確保が大きな課題となる中、その一助となりそうだ。教員志望の学生にとっては、学校現場に触れる機会にもなっている。
 担当する豊岡弘敏教授によると、本年度は3年生24人が受講。まずは理論編として講義を2回実施した。
 1回目で部活動の位置づけや成り立ち、改革が求められている現状などについて、2回目では体罰やハラスメント防止、関係者とのコミュニケーションに当たっての注意点を学んだ。運動能力が高い学生が多い同大だからこそ、「自分ならできる」というスタンスではなく、運動が苦手な生徒にも寄り添う姿勢を学生に求めたという。
 同大が所在する国立市の他、近隣の国分寺市、立川市、府中市、日野市と、同大と協力協定を結んでいる渋谷区の協力を得ながら進めている。3月に各区市教育委員会を通じて希望を取ると、計97部からの依頼があった。
 学生の希望種目とマッチングした上で学生を派遣する学校・部を決定した。大学の授業の一環であるため謝礼はない。学生は学校と指導日時の調整をした上で、12回、学校で指導する。
 5月の連休明け頃から学校に入り、すでに12回の演習を終えている学生もいれば、「3年生が引退して、新チームになってから指導してほしい」という学校側のニーズに対応するため、中学校の夏休み期間中に集中的に行う学生もいるなど、進め方はさまざまだ。
 火曜日の3限の時間には、学生を集めて1週間の振り返りや報告の時間をつくっている。中には、生徒や部活動顧問との関係づくりなどでの悩みを打ち明ける学生も。豊岡教授は「それも勉強」だとして、助言している。
 学校には、記録表に学生が指導した日時の記入と、顧問の押印を求める他、教育実習のように顧問や校長に評価をつけてもらう。学校側の評価を基に同大で成績を付け、2単位を付与する。
 今回の取り組みを通じて、「今後も指導をお願いしたい」と依頼を受ける学生もいる。その場合は外部指導者として、授業とは関係なく指導することも可能だ。また、宿泊学習の引率ボランティアなどの誘いなどといった、学校と大学間の関係づくりにもつながっているという。

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