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教員一丸で授業改善に力 千代田区立麹町中

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 東京都千代田区立麹町中学校(堀越勉校長)は、学校の立て直しに向けて、校内研究に力を入れている。2日には、区立学校の教員らを対象に研究授業を公開。研究発表会ではないが、170人が来校し、活発に意見を交わしあった。
 同区の自主研究会「千代田区教育会」の活動の一環で実施。地区の自主研究会では代表の学級を公開するのが通例だが、研究推進委員長から「全ての学級を公開してみては」との助言があり今回、全学級で、9教科全ての授業を公開した。準備は委員長のリーダーシップの下で進めた。
 協議会では、同校の本年度の研究目標「すべての授業で、主体的・対話的で深い学びの実現」に向けて議論。ある授業の協議会では「教員の考えに引っ張ろうとし過ぎないように」「子どもの考えを拾って進めたほうがいい」というような意見があがった。
 同校は昨年度からの3年間、区の研究協力校の指定を受けながら授業改善に注力。研究主題は「授業で学校を立て直す」だ。
 堀越校長によると、同校では元校長の「学習指導案や授業研究は不要」とする考えの下、全校一丸となった授業研究に取り組まない時期が長かった他、区教育会の研究活動に同校だけが参加しない風土が形成されていったという。
 当時も「校内研修」はあったが、保護者や校外の一般の人などを交えた場だった。当時の教員は「課題について率直に話し合える場ではなく、モチベーションが低下した」と話しているそうだ。
 また当時、「授業がつまらなければ受けなくていい」とされていたため、授業妨害や、教室からのエスケープ、学校設備の器物損壊などが頻発。一方で、マスコミの取材や視察ではその状況は一切表面化して来なかった。
 元校長の退任後は、立て直しへ奔走。元校長の後任である前校長は「授業には参加が基本」と指導。教室に入れない生徒向けの居場所も設けた。ただ、全国一斉休校などを含めたコロナ対応の他、任期中は生徒指導事案対応に追われた。
 令和5年度に着任した堀越校長は、荒れていった時代を知る教員らへヒアリング。他校に異動した教員にも連絡を取って課題を把握した上で方向転換した。
 授業改善に向けて昨年度は「授業規律の確立」を中心に研究。時間の順守を基本とした授業開始・終了時の挨拶の徹底や、本時の目標の提示、振り返り時間の確保といった「麹町中スタンダード」を策定した。
 授業研究が2年目となった今、堀越校長は「生徒たちは落ち着きを取り戻し、授業に真剣に向き合っている。学校の立て直しは確実に進んでいる」と話している。

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