ピアフィードバックのゼロ段階
18面記事
河村 茂雄 著
学級状態別の「相互評価」導入法
「学習者同士の相互評価」を指す「ピアフィードバック」を用いて、協働学習などを効果的に行い「自立した学習者」を育成しようというのが本書の狙いである。
なぜ、今「ピアフィードバック」が必要なのか、他者からの評価を「適切に取り入れて、より建設的な行動につなげることができる」学級の状態とはどのようなものかなど、「学級集団づくりと一体的に進めていく考え方と方法」を3章にわたり、解説している。
最終的には信頼感のある「支持的風土の学級集団」下での相互評価を理想とするが、「自分に都合の悪い人や考え方を否定する」など子どもの「防衛的な意識」を3タイプに分類し、併せて「教師の期待に沿おうとする状態」の「同一化的傾向の学級集団」から「揚げ足とりがあるギスギスした状態」の「防衛的風土の学級集団」まで学級状態を五つのタイプに分けて、タイプごとに何をどのようにすれば理想型に近づけるかを具体的に提示した。
例えば「相互に無関心でかかわりも低調なしらけた状態」の学級では、短時間でも「個人活動」を取り入れ、少し落ち着いてきたら、メンバー構成に配慮した小グループでの役割行動を試みる。その際、人と関わるルール・マナーといった「最低限のソーシャルスキル」も教えるなど、きめの細かい導入方法を掲載する。
学級集団の診断法などで知られる著者らしい切り口での「相互評価」導入論である。
(2200円 図書文化社)
(矢)