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女性教員・女性校長が語るジェンダー平等 <教育改革>の中の困難と連帯

17面記事

書評

佐藤 智美 著
力合わせ差別と闘ってきた姿

 今の学校教育では、男女混合名簿の使用や児童・生徒の名前を「さん付け」で呼ぶなど、ジェンダー平等教育の意識が広がっているように見受けられる。では、児童・生徒を教え、彼らのロールモデルとして身近な存在である教職員におけるジェンダー平等は、どれぐらい実現しているのだろうか。
 本書は、女性教員として長年にわたって小・中学校教育に携わってきた著者が、数多くの先輩・同輩・後輩の女性教員・校長のライフヒストリーを丹念に聞き取りながら、男性上位・女性下位であった小・中学校において、女性教員たちが連帯して活動し、差別の無効化を主張して、男性教員優位に対して対抗的差異化を打ち出していった過程を明らかにしたものである。
 X県における1990年代から2000年代にかけての時期に女性校長・教頭になった人たちの語りは、教務主任など全校を見渡して動かしていく活動を通じて、学校運営・学校づくりに尽力する管理職を目指していく様子が生き生きと描き出されている。
 2000年代半ば以降の学力テストで測られる学力向上政策やPDCAサイクルによる教員管理の浸透の下でも、女性校長たちは教職員の協働性や同僚性に重きを置き、男性管理職とは異なる視点からジェンダー平等を強く志向し、学校教育における可能性を指し示していたのである。
(3300円 晃洋書房)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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