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大学入試改革授業案 漸化式を自ら立てさせる

13面記事

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数学II・数学B
堀内 陽介 広尾学園高校教諭
具体的現象を表現する数列題材に

 数学?・数学Bの第3問は、プレテストの中でも、特に現行のセンター試験からの変化を実感する問題の一つである。これまでの数列の問題の出題方法とは大きく異なっているためだ。
 従来のセンター試験では、与えられた数列について、それが何を表した数列であるか、与えられた漸化式はどんな状況を式にしたものかなど、問題の意味や背景にはあまり注目しなかった。それに対し、この問題は、ある薬を服用した際に、有効成分の血中濃度が時間の経過でどのように変化したかを数列で捉えるというものである。具体的な現象を表現する数列を題材としている点が従来と大きく異なる。
 ここで求められる資質・能力は、与えられた数列を用いてモデリングし、そこから得られる数学的な事実を読み取る力である。また、漸化式の解法を2通り示し、複数の見方をできるか問うものでもある。ここで問われていることこそ、数列を学ぶ意義の一つであり、今後、数列の指導にぜひ取り入れていくべきものであると考えている。
 これまでのよくある数列の指導は、漸化式を解くことがその中心に据えられている。漸化式の解法はパターンに分類して指導することが多く、生徒には暗記要素が強いと捉えられている分野でもある。このようなパターン解法を受け入れさせる指導では、生徒自身が考える余地がないために、上記の新テストの求める資質・能力は身に付いていかないであろうし、数列自体を学ぶ意欲が喚起されにくい。

授業全体をデザインし直す

 そこで、数列の授業全体をデザインし直すことを提案したい。漸化式の指導は、初めに「漸化式を立てる」ところから入るようにしてみるのはどうか。
 漸化式を立てるというワークによって「その漸化式を満たす数列を求めたい」というモチベーションを喚起すれば、生徒は漸化式を解く意義と意欲を獲得するだろう。

複利法

 授業では、具体的に「複利法において年利を0・5%とするとき、100万円を預金して200万円にするにはおよそ何年かかるか、2通り以上の解法を考えよ」というような問いを考えさせる。等比数列の和として求めることも、等比数列の漸化式を作成して求めることもできることを確認し、ペアで互いに説明させることなどで定着させるとよい。
 その後、さまざまな題材で漸化式を立てる演習に進む。漸化式を立てる題材は、大学入試問題でもおなじみの場合の数・確率のものなどたくさんある。
 離散的な現象を解析して漸化式を立てるためには、数列を「数の列」から、「自然数を定義域とする関数」すなわち離散関数として理解していることが不可欠である。その数列の振る舞い(増減)を調べるために、関数でいう微分に対応した「差分法」や、積分に対応する概念として「和分法」を導入することも大いに役立つはずだし、推奨したい。
 差分とは階差数列のことであり、和分とはΣ計算のことである。どちらも現在の数列の指導内容の中に入っているものであるが、現在の扱い方からさらに踏み込んだ見方をしてみると、それぞれ非常に豊かで有用性の高いツールとして生徒は学ぶことができる。
 今まで、バラバラなトピックだと思ってきた階差数列、Σ計算、漸化式などが全てつながっているものであるという理解をすることで初めて、新テストが問うような数学の力が付いていくと確信している。
 新テストで問われる資質・能力を育むために、授業の中で生徒たちが自分で考え、学ぶ意欲と意義を獲得し、楽しんで数学を学んでいけるように指導に当たっていきたいと思う。

漸化式の作成ワークシート

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