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絵本を使った道徳授業の進め方 指導項目を踏まえたすぐに役立つ19実践

22面記事

書評

多賀 一郎 編著
絵本の「不思議な力」活用

 編著者の多賀一郎氏は知る人ぞ知る国語教育の実践家。氏がここ数年「絵本の会」を全国的に広げてきて今回の道徳の教科化に伴って、「絵本を使った道徳の実践を本にしませんか?」と呼び掛け、13人の実践家が集まったという。これはその結実の書である。
 それにしても本書に出てくる、絵本の多さは何だろう。そのジャンルの多様さはなんだろう。正直に言って普段「絵本」に触れていなかった私には、多賀氏の言う「絵本には不思議な力がある」という言い方が、そのまますーっと入ってきた。しかも、この本にある授業の実践者には、それらを使いこなして、そのまま自分のものにされていると感じて、さすがと舌を巻いた。
 特に低学年の子どもらの表情や、それに応じて目で「こんな気持ちなのね」とうなずく教師の交流が見えるようだ。そして子らがウンウンとうなずくさまが、行間から感じられ、これこそコミュニケーションと思ったものだ。教師も子どもも“心で見ている”のを感じるのである。
 本書にも出てくるサンテグジュペリの「星の王子さま」の“大切なのは心で見ること”がここではそのまま自然に行われている…と素直に伝わってくる。
 道徳の授業の在り方そのものを感じさせてくれた本である。
(1944円 黎明書房)
(関根 正明・元山形大学講師)

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