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学校施設の安全対策を強化 文科省来年度予算概算要求

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施設特集

ブロック塀対策、エアコン設置など推進

 学校施設は日本の将来を担う児童・生徒の学習・生活の場であると同時に、災害時には地域住民の避難所としても使用される極めて重要な施設でもある。近年の酷暑などが続く厳しい気候や相次ぐ自然災害などを受け、文部科学省は来年度予算概算要求に、「公立学校施設の安全対策・防災機能の強化等の推進」として、本年度の約3・6倍の2432億円を盛り込んだ。老朽化対策のほか、ブロック塀の倒壊防止等の安全対策、エアコン等の空調設備の設置など、学校施設の教育環境の改善と安全性・機能性の充実に取り組む計画だ。
 6月に発生した大阪北部地震では大阪府高槻市の小学校のブロック塀が倒れ、登校中の児童が死亡した。この事故を受けて全国の学校で行われた緊急点検では、ブロック塀等を設置している学校1万9953校のうち、1万2652校で安全性に問題があることが明らかとなった(8月10日時点)。こうした事態を受けて、全国で危険な塀の撤去や改修等が進められているが、文科省もこれら、ブロック塀の倒壊防止等の安全対策を支援する。
 さらに、小中学校建物の耐震化率は昨年4月1日時点で98・8%となっているが完全達成に向けて引き続き支援するほか、災害時の避難所としての役割も果たす学校施設の防災機能の強化(トイレ改修等)にも取り組む。
 特に、学校施設は長年にわたって使用されることから、計画的・効率的な長寿命化を推進する。長期間の使用(80年以上)を前提に、致命的な損傷が発現する前に計画的・戦略的な改修を推進することで、将来の財政負担の縮減と老朽化による危険性のリスクの軽減を図る。
 学校施設のエアコン等空調の設置も大きな課題だ。今年7月には愛知県豊田市で、小学1年生が校外学習後に教室で意識を失い救急搬送先で死亡するという事故が発生した。児童は熱中症だったとみられ教室は扇風機はあるもののエアコンはなかった。この事故を受け豊田市は小学校のエアコン設置工事を前倒しで進める方針を明らかにしている。文科省の調べでは、公立小中学校の普通教室の空調(冷房)設備設置状況は49・6%となっている(2017年)。文科省は学校の安全対策の一環として、近年の厳しい気象条件に対応した教育環境を確保するための空調の設置を推進する考え。
 学校施設ではそのほか、木材を活用した学校施設の整備推進、学校施設等の省エネルギー対策の強化などにも引き続き取り組む予定だ。

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