日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

第44回全日本教育工学研究協議会全国大会(川崎大会)開催迫る

10面記事

ICT教育特集

吉崎 静夫 川崎大会実行委員会委員長(日本女子大学人間社会学部教授)

 次期学習指導要領の実施を間近に控えて、ICTを活用した教育がますます求められるなか、教育工学に関する「第44回全日本教育工学研究協議会全国大会・川崎大会」が、11月9・10日に川崎市内で開催される。「夢!希望!かわさき!未来社会を切り拓く資質・能力の育成」と銘打たれたその見どころを紹介する。

夢!希望!かわさき!未来社会を切り拓く資質・能力の育成

 川崎大会のテーマ「夢!希望!かわさき!未来社会を切り拓く資質・能力の育成」は、間近に迫った次期学習指導要領を「近距離」に位置づけ、今後の未来社会を「遠距離」に展望しながら、「教育の情報化」の重要な課題である「情報活用能力(情報モラルを含む)の育成」と「授業における効果的なICT活用」に迫っています。
 ところで、川崎市は、150万人の人口を抱える政令都市であるとともに、約6千人の教職員のもとで10万人以上の児童生徒が市内の学校で学んでいます。そして、今回の大会は、川崎市の「教育の情報化」の姿を全国各地の教育関係者の皆様にお見せできるとともに、忌憚のないご意見やご助言をいただける好機であると考えています。
 そこで、1日目の午前に公開される5つの授業校の見所(研究テーマ、研究内容などを簡単に紹介します。川崎市立宮前小学校では、国語、生活・総合を中心とした「情報活用能力育成のためのモデルカリキュラムの作成」を行い、授業を通してカリキュラムの有効性を確かめています。川崎市立旭町小学校では、「情報活用能力の学年段階表の作成」を行い、算数を中心に授業実践の中で学年段階表の意義を検討しています。また、同校では、論理的思考力を育てるためにプログラミング教育を実践しています。川崎市立川崎高等学校附属中学校では、BYODによる一人一台のタブレットPC環境のもとで、「未来をリードする人材育成のためのカリキュラムマネジメント」を研究テーマに掲げて、教科横断的な授業を展開しています。なお、同校のカリキュラムマネジメント表にもとづく「学びの地図」や「デジタル化された学習履歴の蓄積」は見所です。川崎市立川崎高等学校では、日常的な授業におけるICTの活用を主眼において、各教科・科目のどの単元やどの授業場面で、どのようにICTを活用すると生徒の理解が深まるのかを研究しています。川崎市立田島支援学校桜校では、「未来社会を生きる力の基盤づくりーICT利活用を念頭においたコミュニケーション指導―」を研究テーマに、児童生徒のコミュニケーション能力の育成を促すAT(アシスティブ・テクノロジー)の有効性について検討しています。
 ぜひとも各学校の授業実践を見学して、活発な情報交換をしていただきたいと願っています。
 1日目の午後には、基調講演とパネルディスカッションが行われます。基調講演では、わが国の情報教育をリードしている堀田龍也氏によって、情報活用能力を育成する意義と方法が論じられます。続いて、パネルディスカッションでは、それぞれの公開授業校を指導・助言してきた教育工学者によって、川崎大会のテーマである「未来社会を切り拓く資質・能力の育成」が論じられます。
 2日目には、131件の研究発表が、のべ23の会場で行われます。どの研究内容も、今日の「教育の情報化」にとって有意義なものです。活発で実りある研究討議を期待します。さらに、ICT関連企業や教育財団、さらにNHKなどが主催するワークショップが7つ開催されます。どのワークショップの内容も、プログラミング教育、情報活用能力の育成、ICTを活用した授業づくり、ICTを活用した「主体的、対話的で深い学び」など、まさに喫緊の課題です。積極的な参加を期待します。
 最後になりますが、全国各地よりご参加いただきます皆様方に心より御礼申し上げますとともに、わが国の教育の情報化がますます発展することを願っています。

ICT教育特集

連載