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個別に最適化された学びを目指し、民間と連携した遠隔個別指導を実施

9面記事

ICT教育特集

デジタルペンを使うと講師へ筆記内容が送信される

 ICTを活用した教育事業を幅広く展開する大日本印刷(株)は、学校と民間の学習塾が連携して遠隔の個別指導を行い、個別に最適化された学びを提供する実証研究を開始した。
 まず、単元テストの答案を先生が採点ソフトで採点し、学習クラウドへ送信。その結果をAI的に分析して各児童の習熟度や苦手な箇所を割り出して、児童には一人ひとりに合った復習教材を選んで提供し、先生には各児童の理解度や課題を分析した個別の学習カルテを発行する。児童は復習教材に取り組んで苦手箇所の克服やレベルアップに努め、先生は学習カルテを指導に生かす。
 ここまでは既に事業化されて奈良市の全市立小学校などで実施中だが、今回の実証研究では復習教材のフォローアップを遠隔・個別指導の形で組み合わせた。復習教材の答案をクラウドで民間学習塾と共有し、児童のつまずき箇所を把握した塾講師がネット経由でマンツーマン指導。その個別指導の内容や結果も学校と共有し、授業の指導にも生かすのだ。
 この実証研究は経済産業省の「未来の教室」事業に採択されており、実証研究校となった新宿区立落合第六小学校では、4年生18名が隔週で1回40分の算数の遠隔個別指導を受けている。竹村郷校長は「授業時間内で個別指導に割ける時間は限られている。民間と連携することで個別指導を充実し、学校教育を向上できる」と期待をのぞかせる。
 遠隔指導とはいえ、すぐ隣にいるかのような指導が可能で、お互いの顔を見ながら指導や質問が行え、塾講師は画面上に板書しながら解説。児童が専用の方眼ノートにデジタルペンで答えを書くと、瞬時にスキャンされて塾講師と共有される仕組みで、児童たちは集中を切らすことなく真剣な表情で指導を受けていた。曽我明香教諭も、「一人ひとりの学習状況や課題を塾側と共有でき、細やかな個別指導が可能。子どもたちの理解が深まり、学習意欲も高まっている」と手応えを感じている。遠隔個別指導を受けた児童たちも、「とてもわかりやすく教えてくれるので、今までわからなかったことがわかるようになった」と目を輝かせていた。
 問い合わせ=大日本印刷(株) https://www.dnp.co.jp


講師が解答をその場で添削できる

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