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カリキュラム・マネジメントの一環としての学校施設の整備を

10面記事

施設特集

「主体的・対話的で深い学び」の実現のため

 文部科学省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」は近く、報告書をまとめる。新学習指導要領に対応して、「主体的・対話的で深い学び」の実現を促す施設整備の在り方を提言している。
 報告書は、現行の小・中学校施設整備指針の総則で、基本方針として挙げられている▽高機能かつ多機能で変化に対応し得る弾力的な施設環境の整備▽健康的かつ安全で豊かな施設環境の確保▽地域の生涯学習やまちづくりの核としての施設の整備――の3点は、「引き続き重要」とした。
 一方で、今後の小・中学校施設は、新学習指導要領で明確化された「資質・能力の育成や『主体的・対話的で深い学び』の実現のために必要な環境をいかに整備するか、という観点が重要」と強調。学校施設の整備をカリキュラム・マネジメントの一環として位置付け、教育内容や時間の配分、人的・物的資源等と効果的に組み合わせることで、「学習効果を最大化させる取組の促進が期待される」とした。
 そのほか、教職員の働く場としての観点から、執務環境の性能を向上していく視点の重要性を指摘。学校と地域との連携・協働の推進について施設整備の観点から検討することも求めている。
 報告書は小・中学校施設の現状に関して、昭和40年代後半から50年代にかけて建設された校舎等が一斉に更新時期を迎えていると指摘。「一般的に改修が必要な経年25年以上の建物が全体の7割を占める深刻な老朽化に悩まされている」とし、特に緊急的な老朽化対策が必要な経年45年以上の未改修建物に関しては、2020年度までの対策完了を目指して取り組んでいるとしている。
 一方、近年では、地方公共団体の財政負担の軽減・平準化を図る観点から、複数の公共施設を一体的に整備する動きが続いており、公立小・中学校でも他の公共施設と複合化する例が増加。複合化した学校施設を保有する設置者(地方公共団体)は、公立小・中学校設置者全体の約54%を占め、公立小・中学校の35%、1万校以上が複合施設となっている。具体的には放課後児童クラブを併設する学校が6333校と最も多く、地域防災用備蓄倉庫を設置している例も5553校あった。
 今後、既存施設を使って学校施設の複合化を図る際、「学校運営協議会に複合施設の利用者や運営者が参入することで、チームとしての学校の幅の広がりを期待できる」と提言。また、セキュリティや安全管理の面からエリアを明確に分けるなどが必要だと指摘し、「学校敷地の中だけでなく、地域全体で子どもたちの安全性を確保するという視点も重要」などとした。
 地域との連携に関しては、学校施設は災害時に避難所にもなることも重要だ。避難所として開放する際、セキュリティの確保をあらかじめ検討しておくことや、物資などの搬入動線の検討・確保が重要と指摘した。また、避難所としての役割から「空調設備の導入も視野に入れつつ、温熱環境の改善方策を検討」しておくことも求める。

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