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学校での継続的な省エネ推進が必要に

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教育委員会によるエネルギー管理の流れ
(出典=文部科学省「学校等における省エネルギー対策に関する検討会」の資料)

文科省

 文部科学省の「学校等における省エネルギー対策に関する検討会」が大詰めを迎えている。「省エネ法」や「地球温暖化対策計画」では学校にも中長期的で継続的な省エネを求めているが、近年の猛暑によるエアコンの新設や稼働時間の増加、一人一台のタブレット等ICT機器の増設、体育館や教室の地域開放等の影響で、学校のエネルギー使用量は増加傾向にある。そこで同検討会は昨年1月の発足以来、学校での組織的な省エネ推進方策や具体的な対策手法等を話し合ってきたが、現在最終報告書の検討に入っている。
 同検討会によると、学校での省エネ推進にはまず教育委員会を中心とした「推進体制の構築」が必要としている。教委内にエネルギー管理責任者等を設置し、各学校の省エネリーダーや首長部局の環境担当部署等と連携した体制を作ることが、省エネ推進の第一歩となる。
 次に、「取組方針の策定」を行う。各学校のエネルギー使用状況とエネルギーを使用する設備や教育機器等を調査し、現状を正確に把握。その結果に基づき教委が中心となって取組方針を定め、「エネルギー管理マニュアル」を作成する。
 このマニュアルは、エネルギーを使用する設備等ごとに細かく定める必要がある。例えばエアコンなら、空調を施す区画を限定して運転時間や室内温度を定めるとともに、ブラインドやカーテンで日射を防ぐなどの措置も定める。このマニュアルとチェックシートを教委から各学校に配布し、学校の省エネリーダーが校内に周知徹底。教職員はマニュアルに従って省エネに取り組み、チェックシートを用いて実施状況を評価するとともに課題・修正点なども報告する。そして教委は各学校の状況を集約して指導・助言を行い、必要に応じてマニュアルの見直しを行う。このようにPDCAサイクルを回すことが、組織的・継続的に省エネを進めていく上で不可欠だと、同検討会は示している。
 同時に、教職員や児童生徒に我慢を強いるのではなく、適切な学習環境及び作業環境と省エネを両立させようと同検討会が注意を促している点も胸に刻んでおきたい。来年度以降は学校での省エネ推進が本格化することが予想される。まずは同検討会がまとめる報告書を注視しよう。

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