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民間教育機関の人材採用・定着に貢献

15面記事

企画特集

Advanced pay SAISON サービスの流れ

給与受取(前払い)サービス

 教育界に押し寄せる人材不足の波。民間教育機関では、福利厚生の充実も課題を乗り越えるための重要な採用戦略となっている。(株)クレディセゾン(本社=東京都豊島区、山下昌宏代表取締役社長)が提供する給与受取サービスAdvanced pay SAISON(アドバンストペイ セゾン)は導入時の手間がかからず時間講師の応募率や定着率アップにつながると学習塾での活用が始まっている。


(株)SCホールディングス 代表取締役社長 吉田知明氏

学習塾の人材不足、福利厚生で解消へ

 学習塾にとって少子化は、大学生の減少による時間講師の人材不足にもつながる問題だ。塾業界では、アルバイトと学業の両立を保つためワークライフバランスの実現も求められている。
 そうした中、福利厚生の充実で人材確保を図っているのが(株)SCホールディングス(本社=福岡市博多区、吉田知明代表取締役社長)だ。2001年に「スタンダードカンパニー」を創立以来、「幸福感あふれる社会の実現・継続」を企業使命に掲げ、個別指導塾の運営や家庭教師の派遣などの事業を展開してきた。全国に直営で500教室以上を運営する「個別指導塾スタンダード」はメインブランドとして事業を拡大中だ。
 一人ひとりにきめ細かな指導を行う個別指導塾の場合、十分な数の講師を確保することが円滑な運営のカギになる。同社は大学生、シニア、主婦など多様な人材を積極的に採用する「ダイバーシティ経営」を展開。教室までの講師送迎バスの運行や書店と連携した「新書読み放題コーナー」つきの待機スペースの設置など、多彩なアイデアで職場の魅力アップに取り組んできた。
 中でも半年前に導入した給与支払いの新しいシステムが好評だという。クレディセゾンが提供する給与受取サービス「Advanced pay SAISON(アドバンストペイ セゾン)」で、講師がすでに働いた分の給与を本来の給与支給日より前に受け取れる仕組みだ。
 前払い給与はクレディセゾンが企業に代わり振り込むため学習塾側の事前準備金は不要。月1回、クレディセゾン側と精算し、講師には天引き分の給与を既定の給与日に支払う。キャッシュフローに変更がないのがメリットだ。振込元口座の新規開設の手間や導入時の費用負担はなく、講師からの問い合わせはクレディセゾンのコールセンターが対応する。

安心して働ける環境の実現を

 借入ではない方法で、急な出費などに対応できるため講師側のメリットも大きい。大学生講師の場合、夏休み等の長期休業中の半分は学習塾でアルバイト、半分は旅行や帰省などに充てるパターンが多いという。「Advanced pay SAISON」はパソコンだけではなくスマートフォンからも申請できるため、急な出費にも対応が可能。働いた分の給与が表示され、必要な金額を申請すると平日朝11時受付分までは当日振込されるスピード感が支持された。SCホールディングスにおいては、利用人数、回数ともに伸びており、積極的に活用されていることが窺える。
 特に都市部以外では、大学生の講師は学習塾間で「取り合い」状態。採用情報に給与前払いサービスの導入をうたったことで「導入後、時間講師の応募人数が25%増えた。ゆとりを持って講師の手配ができるようになった」と吉田知明社長。採用戦略の一つとして応募数の増加に貢献したと同サービスの効果を実感している。
 必要なときに働いた分の給与が振り込まれれば安心して旅行や帰省ができ、講師のモチベーション向上につながる。加えて安心して働ける環境が実現できたことで、勤務の継続、より積極的にシフトを増やすなどの定着率アップにもつながっている。
 「Advanced pay SAISON」はこれまで、短期の非正規スタッフを多数採用する人材派遣、コールセンター、物流・倉庫などで導入されてきたが、学習塾で採用されたのは初めて。労働集約型産業である「教育産業」の世界にも、こうした先進的な福利厚生サービスの活用が有効な人材不足解消策となっている。

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