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14面記事

書評

向山洋一が教育界に創ってきたこと
向山 洋一ほか 著
法則化からTOSSへ 熱気と歴史伝える

 日本教育新聞での連載「講座『向山の指導技術』」は1987(昭和62)年4月6日付から始まった。同日付の1面トップでは「人間・向山洋一」に焦点を当て、現職教員、法則化運動代表、雑誌編集長などの顔を併せ持つ日常の多忙ぶりも紹介した。
 本書の副題は「向山洋一が教育界に創ってきたこと」。教育技術法則化運動の当時の熱気を知る世代も少なくなっただろうか。教育技術法則化運動を前身に、TOSS(Teachers’Organization of Skill Sharing)へと発展する足跡は、まさに日本の教育史の一断面である。
 第1部「教育界を変革してきたTOSSの歴史」は、向山氏とその伴走者、谷和樹氏、伴一孝氏、師尾喜代子氏、板倉弘幸氏らが鼎談、あるいは座談会の形式を取りながら、「日本の学校を近代化させるために」(第1章)、「プロ教師の条件」(第2章)、「TOSSの教材教具の開発」(第3章)をテーマに、向山氏の思いを確認しながら、語り合う。
 第2部には「これからの教育界に創っていきたいこと」と未来志向で「若手教師の主張」「中堅教師の展望」「ベテラン教師の見解」に22人の思いが寄せられている。
 教育にとって本当に必要なことについて語る向山氏の言葉は、かつて法則化に批判的だった人でも、教育関係者であれば琴線に触れるのではないか。若い教師たちがその著作を買いあさったのも、いまさらながら納得のできる光景である。
(3024円 東京教育技術研究所)
(矢)

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