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観光庁が観光教育普及シンポジウムを実施

8面記事

企画特集

「授業指導案勉強会」の報告を行う東京学芸大・大学院の古野香織氏

観光を通して得られる知見を報告

 観光庁が取り組む「観光教育」の普及についてのシンポジウムが3月13日に朝日新聞東京本社にて行われた。今回のシンポジウムの目的は、観光産業への興味関心の喚起とその重要性・必要性の再確認。実際に観光教育を授業カリキュラムに取り組んだ学校の報告や、有識者のパネルディスカッション等を中心に展開された。
 授業報告をしたのは沖縄県那覇市立開南小学校と福島県立猪苗代高等学校の2校。それぞれの地域性と特色を交えた授業内容と、成果について発表が行われた。沖縄・開南小学校は国際通りから徒歩圏内にあるという立地を生かし、国際通りを通る観光客へ生徒たちがインタビューをして報告会をする全16時間の授業を実施。児童たちが思う自地域のイメージと、国内外から来訪する観光客が持つそれとの比較や、PR活動に取り組んだ。沖縄の魅力について知る機会になっただけでなく、「外国人観光客との意思疎通の成功体験」(喜屋武仁教諭)という副次的な効果もあったという。
 「観光ビジネス学科」を置く福島県・猪苗代高校は2年生の1クラス11名を対象に授業を展開。「地元観光地が抱える課題と効果的な観光客誘致の検討」を軸に、自然や文化財などの観光資材を持つ猪苗代町についての現状を知るためのフィールドワークから資料調査、旅行代理店の出張授業など、内容は多岐にわたった。実際に観光客を招き入れるホテル・旅館での仕事体験から、外来種による地元観光状況の悪化についての調査などを経験し、生徒たちの満足度も高かったという。
 児童・生徒たちが自地域について学ぶ機会の創出だけでなく、新たな魅力を見つけ発信する担い手の育成という意味でも観光教育の役割は重要で、今後の可能性に期待される。

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