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「社会に開かれた教育課程」を実現する学校づくり

13面記事

書評

具体化のためのテーマ別実践事例15
貝ノ瀬 滋 監修
稲井 達也・伊東 哲・吉田 和夫 編著
多様な事例で外部連携の意義示す

 本書の指摘通り、新しい学習指導要領のキーワードにある「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」に比べ、「社会に開かれた教育課程」は具体的にイメージしにくいかもしれない。
 第1部では、「社会に開かれた教育課程」の具体的なイメージ、教育委員会との連携や、教育委員会からの支援について提案した。
 その上で、第2部として、「むすびつく地域社会」「健康長寿社会に向けて」「国際社会を視野に入れて」など六つに課題を類型化しながら、対応する15の実践を掲載した。
 例えば、岐阜県白川町は町立図書館を中心に置き、園や学校、地域、保護者がつながり、白川小学校などでの読書活動を活性化していく。沖縄県石垣市立石垣小学校は地域資源を取り入れた観光教育に取り組み、子どもたちは地域の良さを再発見する。
 東京・墨田区の教育委員会と保健所、病院、NPOが連携する、がん教育の様子は業平小学校の実践から分かる。静岡市内の中山間地域に位置付く極小規模校、水見色小学校は、静岡大、一般社団法人の協力を得て、都市部の職業人からLINEの電話機能によるテレビ会議で学ぶキャリア教育に特色がある。
 いずれも子どもたちの教育課題を、外部連携の下に授業展開し、解消していく。各事例には成果や留意点なども明記され、今後、取り組もうとしている学校には参考になる。
(2160円 学事出版)
(吹)

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