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カラフルな学校づくり ESD実践と校長マインド

16面記事

書評

住田 昌治 著
教職員が元気になる学校経営

 横浜市内でいち早くESD(持続可能な開発のための教育)、ユネスコスクールの実践に取り組んだ永田台小学校での学校づくりを中心に、教職員を元気にする学校がなぜ誕生したのかをいろいろな角度から解き明かした一冊と言ってもよいだろう。
 著者が校長として在任中の平成26年には、第46回全国小中学校環境教育研究大会(神奈川大会)の会場校となった。環境教育先進校の実践記録と、当て推量して本書を手に取られる方がいれば、良い意味で裏切られるだろう。
 タイトルにある「カラフル」の対極にあるのが「ブラック」。やらされ感に満たされながら、限界ぎりぎり、あるいは超えてまでこなす業務が、いつの間にか教職と呼ばれるようになった。教員が疲弊する業務の在り方はESDではない。むしろ、生き生きと働く環境を創り出そうとするのがESDなのであると、本書に教えられた。
 その実現に必要なのは、全てを管理しようとする校長のリーダーシップではなく、支援型のリーダーとしての「サーバントリーダーシップ」、同僚性を担保する「ケア」である。
 学校と学校を取り巻くあらゆる要素を持続可能性という観点から見直す「ホールスクールアプローチ」という手法を取り入れた。
 本当にそんな学校があるの? と疑問を持たれる方、そんな学校を実現したい方に、ぜひ本書を手に取ってほしい。
(1944円 学文社)
(矢)

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