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今からできる学校の熱中症対策

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緑のカーテンを設置する学校も増えている

~暑さ指数の活用からちょっとした工夫まで~

暑さ指数を参考に運動方法を調整
 猛暑日が続いた昨年は、文部科学省が子どもの熱中症による事故防止対策として、全国の学校に対して夏休み期間の延長や夏休み中の登校日の延期・中止を検討するよう、都道府県教育委員会などに通知を出すといった事態も招くなど、もはや熱中症対策は学校にとって欠かせない教育課題になっている。
 こうしたなか環境省の熱中症予防サイトでは、今年度の暑さ指数(WBGT)の情報提供を4月19日より開始している。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとりに着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい、(1)湿度、(2)日射・輻射など周辺の熱環境、(3)気温の3つを取り入れた指標のこと。WBGT31度以上では、運動は中止。28度以上では、激しい運動は避ける。25度以上では、積極的に休息をとり、水分・塩分を補給することを奨励しており、学校の指導者には、この数値を参考に運動方法や水分補給等を工夫することが求められる。

従来型の指導法の見直しを
 特に学校での部活動の顧問は、必ずしもスポーツの専門家が務めたりするわけではなく、医科学知識を持たない教員や外部指導者がほとんどである。何より、高温多湿環境の中でいくらトレーニングしても効果的ではないことを自覚し、こうした数値を参考に子どもたちを熱中症の危険から守ってもらいたい。
 なお、こうした対策は熱中症の予防だけでなく、指導者の立場を守るためにも必要である。なぜなら、近年では学校の法的責任を問われ、高額な賠償請求を受けることも珍しくなくなっているからだ。つまり、学校にとっては看過できない問題に発展しているわけで、教育界においてはスポーツ活動における従来型の指導の見直しや、適切な予防措置に本気で取り組まなければならない時代を迎えている。

近年の高温に追いつかない設備
 学校での具体的な対策としては、毎日の外気温を測定し、データを職員室に掲示することで教職員間の共通理解を図ること。最近では熱中症指数計を常備する学校も出てきている。また、体育館に製氷機を設置してアイシングや部活用の飲料を備えておく。いざという時に備えて、スポーツドリンク、経口補水液、うちわ、塩、噴霧ボトル、冷却スプレーなどをセットにしたかごを準備し、運動中はそばに備えておくといった対策も有効だ。
あるいは、日なたにテントや遮光ネットを張ったり、グリーンカーテンやミストシャワーを設置したりして暑さ対策を施す学校も多くなっている。学校には運動会用のテントがあるほか、ミストシャワーも手作りで設置すれば少額で設置できる。これらを大型扇風機と併せて使えば、より効果も増す。ぜひ、こうした工夫も取り入れてほしい。
 また、子どもたちに対しては日頃の注意喚起とともに、こまめな水分補給をいつでも摂れるように水筒を持参させる学校も多くなっているが、その際重要なのは授業中でも自由に摂取できる環境づくりに努めることである。加えて、夏場には午前中で水筒が空になることも考えられるため、水道や冷水機から補充することにも配慮しておく必要がある。
 学校における暑さ対策を講じる設備機器は、近年の気温上昇の速度に追いついていないのが現状だ。だからこそ、このような学校の努力とともに、自治体には早期の対策を図る環境設備の導入に努めてもらいたい。

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