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世界で取り組みが進むSTEAM教育、理数系と芸術の融合とは

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特集 教員の知恵袋

みなさんはSTEAM(スティーム)教育という言葉をご存じですか。STEAM教育とは、理数系と芸術の両分野に力を入れる教育法ですが、初めて知ったという人もきっと多いはず。ITやAI(人工知能)がさらに進化した次の時代を創造する子どもたちを育てることを目的としており、米国をはじめとする海外では、さまざまな取り組みが本格化しています。この記事ではSTEAM教育の現状について解説します。

■自由に創造し、表現する能力を追加

STEAM教育という言葉は「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Art(芸術)」「Mathematics(数学)」から5つの頭文字を取って作られました。理数系教育の充実を図るSTEM教育に芸術の「A」を加え、この名がついています。

STEM教育がエンジニアリングやロボット制御などを行いながら課題解決する際、理数系4領域の知識を横断して活用するのに対して、STEAM教育は自由に創造し、表現する芸術の要素が加わっています。

米国でオバマ大統領(当時)が2011年の一般教書演説でSTEM教育を国家戦略とし、教育省が実証プロジェクトを推進していますが、全米工学アカデミーなどの学術団体はSTEM教育の進化版ともいえるSTEAM教育を提唱されています。

■AI時代に必要な思考と能力を教育

テクノロジーの発展でAIやロボット、IoTが身近な存在になってきました。次の時代は人間がやっている仕事の多くをAIやロボットが担うことになると予想されています。

そのような時代を生きる子どもたちは発展したテクノロジーを使いこなすだけでなく、さまざまな課題を解決するための方策を作り上げていかなければなりません。そのために求められるのが理数系の知識、技術と同時に、芸術の能力です。

AIは論理的な思考しかできないので、クリエイティブな分野を苦手としています。つまり、STEAM教育はAIが生み出せないものを作るトレーニングの側面も持っているのです。

文部科学省は2018年、今後の教育方針をまとめた報告書で、

(1)文章や情報を正確に読み解き、対話する力
(2)科学的に思考し、吟味して活用する力
(3)価値を見つけ出す感性と力、好奇心・探求心

の3つを養うため、STEAM教育が必要としています。

■日本国内でも始まったSTEAM教育の取り組み

STEAM教育の取り組みは日本でも始まっています。その代表例が2020年度から小学校で必修化されるスタートするプログラミング教育です。

文部科学省は情報活用を言語と同様に学習の基盤となる能力と位置づけ、小学校で文字入力など基本的な操作を習得させると同時に、プログラミングを体験しながらコンピューターに意図した処理を行わせる論理的思考を学ばせるとしています。

ひと足早く活気づいているのは、民間のプログラミング教室です。中高生対象のオンラインスクールを開講やプログラミング学習教材の販売を始めました。

文部科学省では高校での文理分断の改善、大学で誰もがSTEAM教育を受けられるよう教育プログラムの見直しを検討しているほか、経済産業省は未来の教室実証事業で教育と技術の融合を目指しています。

■海外でも広がるSTEAM教育。シンガポールは国を挙げて教育組織を設置

STEAM教育はシンガポール、中国などアジア諸国にも広がっています。中でも力を注いでいるのがシンガポールです。

シンガポールは独立以来、人材育成を国策とし、特に理数教育を重視してきました。シンガポールのSTEAM教育を担っているのは、国立のサイエンスセンターです。2014年、全中学生に教育プログラムを提供する組織を立ち上げ、ロボット工学やプログラミング、環境科学、健康科学などを教えています。この組織には博士号を持つスタッフが所属し、各中学校でさまざまなSTEAM授業を展開しています。

中国では広東省の深センに世界的な教育ロボットメーカーのメイクブロック(Makeblock)が誕生しました。学校や家庭、教育機関へ組み立てながらプログラミングを学べる教育用ロボットキットなどを販売し、世界展開を進めています。

■創造力や表現力を養う教材が次々に

市販されている教材には、モーターやギヤを使い、3輪バイクなど毎回異なる形のロボットを作製するものがあります。オリジナルロボットを作ることで創造力や表現力を養います。ほかにも、知育ロボットにプログラミングして動きを命令するものが販売されています。論理的な思考力を育むのが狙いです。

さらには、ブロックを活用したパズルトレーニングで図形に慣れ、カードゲームなどでコンピューターの仕組みを学ぶものもあります。STEAM教育といっても教材はパソコンを使うだけではなく、実際に物を使用して知識を深めます。

■教員不足や学校ICT化の遅れが課題

STEAM教育の前途にはいくつかの課題が残っています。経済産業省が2018年から進めている未来の教室実証事業では、学習を指導できる教員の不足や中高生が本気で挑戦できるプログラムの不足、学校ICT化の遅れといった問題点が明らかになりました。

経済産業省は指導者の確保やコンテンツの充実に取り組む必要があるほか、学校ICT化の高コスト構造を解明し、環境整備を急ぐ必要があるとしています。

■テクノロジーを生む人材創出にも期待

STEAM教育は理数系と芸術の両分野を重視した教育法で、テクノロジーの発展をうまく利用するだけでなく、テクノロジーを生む人材の創出に期待が持てるとされています。2020年度のプログラミング教育導入を機に、関心がさらに高まりそうです。

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