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大学入学共通テストに挑む 予想と比較で、対話的で深い学び

10面記事

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数学Ⅰ・A
村形 政信 東京都立西高校主任教諭

平成30年度試行調査について

 従来のセンター試験では、公式を正しく理解し、効率よく計算を実行することが高得点を取るために必要であった。それに対し、大学入学共通テストでは試験時間が10分延長され70分になり、記述解答も導入される。数学的な思考・判断・表現力も評価の対象になる。もう少し詳しく述べるとすれば、次の四つの力が試されているのではないだろうか。

 1 身の回りや社会的事象を数学の問題として表現する。
 2 問題の本質的部分を抜き出し、求めるべきことを明確化する。
 3 自分の持っている知識を使って、答えを導き出す。
 4 出てきた答えを検証し、統合的、発展的に考える。

 数学Ⅰ・A第3問は、まさにこの四つの力を、花子と太郎との2人の会話を通して評価しようとする問題構成になっていることがよく分かる。くじが100本ずつ入った二つの箱から順にどちらかの箱を選んでくじを引く。当たりくじの本数は決まっていない。まずは箱Aに当たりくじ10本、箱Bに当たりくじ5本が入っているということにして、話を進める。上記の1に相当する。次に、2番目の人は、1番目の人と同じ箱を引いた方がよいかという具体的な設定をして、条件付き確率の計算をする方向で話が進む。これは2に当たる。そして条件付き確率の定義に従って丁寧に計算を進める。計算自体はごく基本的なものである。3に相当する。最後に箱Aに入っている当たりくじの本数を固定し、箱Bの当たりくじの本数をいろいろ変えてみることで、何本であれば同じ箱から引いた方がよいか、発展的な考察がなされる。4に相当する。

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