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学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす

14面記事

書評

中山 芳一 著
育てるための挑戦も紹介

 「非認知能力」、数値では測りにくい能力を私たち教師は日々の関わりの中で、どこまで子どもに見いだせているだろうか。教え子も30年過ぎると、その差が歴然とする。優秀な子どもはそれなりであまり変わらないが、どこか生き抜く力にあふれていた子どもは、魅力的な大人になっているように私は感じられる。
 著者は「これからの時代を生き抜く子どもたちのために、大人たちが目を覚ますきっかけにしていただけたらと書き綴りました」と謙虚に表現しているが、文脈は平易だが、文節からはものすごいエネルギーを発している。図や表などを駆使して、この内容をこの厚さによくまとめ上げたと感心する。IV章の大人たちの挑戦は目を見張る内容であり、どの学校でも取り入れられるヒントが満載だ。どの項目から読んでもよいが、巻末の「私と父とのエピソード」にぜひとも目を通していただきたい。そこに「肝」がある。何度も読み込んで、既成概念をそぎ落とし、評価観点を変える時が到来した。
 採用選考で同一線上に並んだ者から一人を選び出さねばならない。感性を研ぎ澄ませ、この選択の先に子どもの笑顔が輝くかと自問自答した事を思い出す。自己の感性への問いである。巻末に「大人が変われば、子どもも変わります」と、太字で結んでいる。御意である。全教師必読の書と見た。目が覚めた!
(1944円 東京書籍)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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