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世界10ヵ国の生徒と交流~博報日本語交流プログラム(中編)~

8面記事

企画特集

 公益財団法人博報児童教育振興会の「博報日本語交流プログラム」(後援=文部科学省)に参加する世界10カ国11校の教師11名と生徒44名は、栃木・那須での合同合宿を経て、日本の参加校である跡見学園中学校(東京・文京区)と中央大学附属中学校(東京・小金井市)を訪問した。授業や部活動を体験し日本の生徒たちと交流を行った。

歓迎会は生徒が主体的に企画

 4月17日、海外校の教師と生徒が跡見学園中学校を訪れた。まずは体育館に集合し、日本校と海外校の生徒がお互いの学校を紹介。海外校の生徒たちは、授業内容や部活動、制服や食事など学校生活全般について自作のスライドを映しながら日本語でプレゼンを行った。海外の生徒たちが話す日本語の上手さに日本の生徒たちは感心し、海外でも日本語や日本文化を学んでいることを知って驚いた様子だった。
 続いて各学級での交流に移った。2年生と3年生のクラスに各国4名ずつの海外校の生徒が加わり、日本語で交流しながら学校生活をともに過ごす。はじめにフルーツバスケットやビンゴゲームなど、跡見学園中学校の生徒が企画したレクで交流を図る。その甲斐あって、一緒に昼食をとる頃にはすっかり打ち解け、「なぜ日本語を学んでいるの?」「お箸の使い方上手だね!」と和気藹々と談笑していた。マレーシアから来た生徒は「うまく交流できるか不安だったけれど、積極的に話しかけてくれた。みんなとてもやさしい」と笑みを浮かべた。
 昼食後には各クラスで授業を受けた。国語や音楽、体育など教科はさまざま。わからなくて困っている海外の生徒に、日本の生徒が日本語で丁寧に教える場面が多く見られた。

学校生活を体験し新たな発見も

 海外校の生徒が特にカルチャーショックを受けていたのが、放課後の清掃体験だ。スリランカから来たコーサラー・アタルガマ先生は「自分たちの学校を自分たちできれいにするという日本ならではの文化に、私も生徒たちも感心しています」と、日本の生徒に教わりながら掃除に励む子どもの姿に目を細めた。
 ホームステイを受け入れる日本人生徒との顔合わせも行った。「どこに行きたい?」「お寿司は食べられる?」と日本語で打ち合わせるとともに、日本に来た理由や将来の夢について語り合うなど、一日でとても親しくなったようだ。
 最後に、部活動体験を行った。能楽の一つである謡曲仕舞の見学や、美術部では日本画を体験。卓球部では部員とともに練習に参加した。

積極的に会話の糸口を探す生徒たち

 2日後の19日には、中央大学附属中学校を訪問。生徒会長が「みなさんに楽しんでもらうために準備してきました。楽しく日本語を勉強していってください」と、聞き取りやすいようにゆっくりと挨拶し、和太鼓の演奏と応援団のエールで海外校の生徒たちを歓迎した。和太鼓の迫力に海外校の生徒たちも魅せられ、スマホで動画を撮影する生徒も。
 その後、海外校の生徒たちは2年生と3年生の計10学級に分かれ、交流を始めた。教室で一緒に昼食をとるなかで、男子はスポーツや映画、音楽の話題、女子はアクセサリーや恋愛の話で盛り上がった。1週間前の合同合宿では、食事のときの会話が弾まなかったことと比べると、双方の距離はとても縮まっていた。
 午後の4限目には、各学級で一緒に授業を受けた。俳句を作ったり、百人一首に興じたりと、日本について学べるように担任の先生方が趣向を凝らした。
 海外の生徒たちが特に盛り上がっていたのは、6限目の和太鼓体験。日本の生徒に教わりながら、みな一心不乱に叩き、うまく演奏できると周りから拍手が起こった。
 学校訪問が終わると、海外校の生徒たちは日本校の生徒の家庭にホームステイ。受け入れる生徒の一人は「外国の人と友達になりたくて参加した。2泊3日のホームステイでたくさん話し、異文化交流したい」と笑顔で海外校の生徒とともに下校した。

「子どもが変わる」を実感するプログラム

 学校訪問を振り返って跡見学園中学校の和田俊彦教諭は、「生徒が海外に赴く国際交流は、参加できるのが一部の生徒に限られる。しかし、このプログラムは海外の生徒が日本に来てくれるので、たくさんの生徒が交流でき、成長できます」と、本プログラムの良さを語った。中央大学附属中学校の三浦麻美子教諭も「去年参加した他校の先生から『子どもが変わる』と聞いていたが本当だった。特に合同合宿に参加した生徒の成長が著しく、今まで引っ込み思案だった子がとても積極的になり、学校訪問の準備も率先して行ってくれた。合宿に参加できなかった生徒たちも、今日一日で見違えるほど積極的になった」と手応えを語った。

 6月3日号にて(後編)を掲載

<日本参加校募集が来月より開始!第11回博報日本語交流プログラム実施概要>

 ・実施期間=2020年3月11日(水)~3月26日(木)(予定)
 ・主な交流内容=学校訪問、合同合宿、ホームステイ、発表会・歓送会など
 ・日本参加校=中学校2校程度
 ・参加人数=合宿については各校より生徒20名と引率教師2名(予定)
 ・助成内容=プログラムの活動費(交通費・宿泊費・食費・施設利用費・保険加入費など)
 応募受付期間=2019年6月3日(月)~8月9日(金)
 詳細はホームページをご覧下さい。

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