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「優秀教員」の職能開発 効果的な現職研修の検討

6面記事

書評

當山清実 著
被表彰者の調査踏まえ育成の仕組みを解明

 優秀な教員は、どんな教職人生を経て、「優秀教員」になったのか―。その仕組みを解明し、職能開発の一助になればと実施した全国調査の結果をまとめたのが本書だ。調査対象は「文部科学大臣優秀教員表彰」制度の被表彰者。都道府県によっては年功序列的に選ばれることもあると考え、「35歳から45歳」に絞った。
 「校内研修」「校外研修」「自主研修」について46の質問を投げ掛け、役に立った度合いを5段階で尋ねた他、教職人生で心掛けてきた内容や表彰による心境の変化、将来の進路への希望なども調べている。結論から言えば最も役に立ったのは自主研修。「非常に役立った」を5、「全く役立たなかった」を1とすると、自主研修の平均は4・24。校内研修は3・91で、校外研修は3・75だった。
 特に初任者の頃に自分に良い影響を与えた環境については、「模範となる教員の存在」(78・5%)や「何でも語り学び合える雰囲気」(47・6%)などの回答が多かった。表彰後に変化があったのは41・1%で意欲や自信が増したという。将来は、「教諭としての職務を継続」したいが30・9%、学校管理職を希望しているのは27・2%だった。
 著者は職能開発を円滑に進める方策として、校長の人材マネジメント能力の向上や教育行政の支援力の強化、教員研修政策の見直し(自律性の重視)などを挙げており、政策検討の参考になる。
 発行はジアース教育新社で定価は2400円(税別)。

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