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教員のスキルアップを実現する免許取得を通信教育で!

14面記事

企画特集

通信制大学で自身のキャリアアップを

働きながら複数免許などの取得が可能

 仕事と両立させながら学べる大学通信教育は、いつでも、どこでも、だれでも学べる教育機関として、現在、44大学、27大学院、11短期大学が門戸を開放しており、全国でおよそ24万人が学んでいる。
 教員免許状の種類には、普通、特別、臨時の3種類があるが、通信教育課程で取得できる教員免許は普通免許状で、小、中、高、特別支援学校、幼稚園教諭、養護教諭、栄養教諭の免許状があり、それぞれ専修、1種、2種に分かれている。免許状取得の代表的なものとしては、次の4通りのケースがある。(1)新たに教員免許状を取得する場合(2)現在持っている免許状を上位の免許状に上進させる場合(3)現在持っている免許状を基にして同校種の他の教科の免許状を取得する場合(4)教職経験を有する者が隣接校種免許状を取得する場合。
 学習方法は、印刷教材による授業が中心。大学から送付されたテキストなどを学習し、与えられた課題に沿って学習成果をリポートして添削指導と評価を受ける。また、足りない部分を面接授業(スクーリング)や放送授業(主に放送大学)、インターネットなどの授業で補うとともに、学習指導(教育・学習上の指導)が行われるのが特色だ。
 これらの学びを通して科目ごとの試験に合格することで、単位を取得できる。そのため、地理的・時間的な制約がある教員でも、複数免許や上位免許の取得など自身をスキルアップできる場として、より一層の活用が期待されている。

今、大学通信教育が注目を浴びる背景
 このような通信制大学による教員免許の取得が推進されるのは、新たな知識や技術の活用により社会の進歩や変化のスピードが速まる中、教員の資質・能力向上は我が国の重要課題の1つとされているからにほかならない。つまり、学校に対するニーズが複雑化・多様化する中で、豊かな知識や識見、幅広い視野を持った人材を教員として確保することが必要とされているからである。
 さらに、もう1つの背景としては、ベテラン教員の大量退職や少人数指導の導入、特定教科の免許状を持つ教員の人材不足が年々進んでいることがある。特に、中学校の美術、技術、家庭、高等学校の情報など実技系教科の教員不足は深刻さを増している状況で、仕方なく教員に免許外の教科を担当させる弊害も生みだしている。
 これらは、大阪電気通信大総合情報学部の中野 由章客員准教授の調査で、情報科の教員採用試験をしていない道県が13もあるなど、自治体での採用の遅れが指摘されていること。また、文部科学省が11自治体を対象としたアンケートでも、平成29年度始業日時点で小学校の常勤教員266人が不足しているなど明らかになっている。したがって、年度途中に病休・育休などで欠員が発生すると補充がままならず、免許外教員で賄うケースも多くなっている。

教員が取得しやすい環境を
 だからこそ、文部科学省では免許状取得要件の弾力化を遂行するとともに、これらの免許取得のために現職の教員が受講しやすい環境の整備として、通信制大学による講座の開設や養成・研修機能の強化に期待をしているのだ。
 その1つが、教員の教職経験を考慮した免許状併有の促進である。ある学校に一定年数以上の勤務経験のある教員が、他の学校種の普通免許状を取得しようとする場合、勤務経験年数を考慮して軽減された単位数で普通免許状を取得することが可能となっている。その場合に必要な単位は大学における通常の講義のみならず、大学や教育委員会等が文部科学大臣の認定を受けて開設する講習や公開講座においても取得可能とされている。今後、小中一貫教育の推進や多様な教育課題への対応により、教員が学校種を越えて活躍する機会が広がっていくことが想定されるため、本措置による免許状併有を促進していくことは有益と考えているためだ。

求められる教員の資質能力とは
 では、具体的に、これからの教員にはどんな資質・能力の向上が求められているのか。中央教育審議会の答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について(平成27年12月)」では、英語や道徳、ICTなど新しい教科等の指導に関する専門知識を備えた教えの専門家としての側面や、教科等を越えたカリキュラム・マネジメントのために必要な力、アクティブ・ラーニングの視点から学習・指導方法を改善していくために必要な力などを備えた学びの専門家としての側面も備えることを示している。
 そして、そのためには教員が自律的に学ぶ姿勢を持ち、時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことが必要としており、こうしたモチベーションを維持できる環境整備が、今後より一層求められるようになると指摘している。
 すなわち、研修のための機会を確保した上で、大学等を含めた関係機関との有機的連携を図りながら、教員のキャリアステージに応じ、教員のニーズも踏まえた研修を効果的・効率的に行うこと。あるいは、教員が学び続けるモチベーションを維持するため、教員の主体的な学びが適正に評価される取り組みや制度構築を進めることが必要としている。

学び続ける教員を支える一翼として
 一方、これら教員のスキルアップを図るために不可欠な教員免許取得の課題については、教育委員会と大学等の関係者が教員の育成ビジョンを共有しつつ、各種の研修や免許状更新講習、免許法認定講習、大学等が提供する履修証明プログラムや各種コース等を積み上げ、受講証明や専修免許状取得が可能となるような体制を構築すべきとしている。  
 したがって大学通信教育には、こうした学び続ける教員を支えるキャリアシステム構築の一翼を担うことが、今後ますます期待されていくことになるだろう。
 これからの教員には、グローバル化する社会を生き抜く人材を育成するための幅広い知識や、高い専門性を備えた指導力が求められている。そのため、文部科学省では教員の質の向上に向けた複数免許の取得や専科教員の拡充を推進しており、免許状取得の弾力化や教員が取得しやすい環境整備に力を入れていく方針だ。そして、こうした教員自らのスキルアップを実現する場として期待されているのが、多様な教科・校種の免許を無理なく取得できる「大学通信教育」や「通信制大学院」の存在になる。

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