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教育の方法と技術

19面記事

書評

主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナルデザイン
稲垣 忠 編著
現代の教育と過去の実践、理論を橋渡し

 学生のテキスト、教員研修の資料などに活用できる授業のつくり方(=インストラクショナルデザイン)について解説した。
 「これからの子どもたちに育みたい資質・能力」などについて「ガイダンス」(第1、2章)し、「設計の基礎」(第3~5章)では授業ができるまでや、評価、学習環境のデザインなどを取り上げる。「実践の基礎」(第6、7章)は教師の基本的な指導技術と児童・生徒の学びを引き出す指導技術に焦点を当て、「設計の実際」(第8~11章)で学習目標の設定、教材研究、学習過程、評価方法を学べる。「情報化への対応」(第12~14章)ではICTの活用、情報活用能力の育成などに言及し、最終章「授業の実施」(第15章)で模擬授業や研究授業の在り方に触れた。
 授業づくりのベクトルは、これからの社会を生きる子どもの資質・能力を育てるために必要とされる「主体的・対話的で深い学び」に向き、現代の要請に応えようとしている。
 さらに、「授業の名人」として知られた有田和正さんの社会科で育てようとした子ども像「執ような追究をする子ども」などにも言及しながら、これまでも優れた教師たちは「主体的・対話的で深い学び」を実践してきたなど、過去に提示された実践、理論と現代の教育を結び付けている点にも本書の特色がある。授業の在り方を深く学ぶ、体系的に整理する―を望む読者には最適な一冊である。
(2376円 北大路書房)
(吹)

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