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めっしほうこう(滅私奉公)

16面記事

書評

学校の働き方改革を通して未来の教育をひらく
藤川 伸治 著
働き方改革を画餅にしないために

 自分の利益や都合ばかり考えず、目の前の子どものために身を捧げる。「学校の先生とは、そういうものなんだよ」。登場人物の言葉に、思わず共感する先生は多いかもしれない。著者はこうした働き方を「滅私奉公」と呼ぶ。
 本書は、学校の働き方改革が叫ばれ、提案された「1年単位の変形労働時間制」を盛り込み、2021(令和3)年度の開始直前から始まる近未来的な物語。
 過労死ラインを超える勤務状態が緩和され、部活動ガイドラインが順守されているはずだったが、実際には冒頭の先生は、欠員状態の学校を支え続け、子ども、保護者の期待から土・日の部活動をこなし、頼まれれば修学旅行を引率し、その後、脳内出血で倒れる。同僚、校長らが公務災害申請へと踏み出し、周囲の人との葛藤を超えて、子どものため、家族のために働く意味を捉え直していく。
 その解決策には、タイムカード導入後に増える持ち帰り仕事を勤務時間に加えるよう条例化すること、全国を含め3回実施している学力テストの当該自治体分の廃止などの提案などもあり、現実的だ。
 変形労働時間制導入後、年間の労働時間の許容範囲は2085時間以内。業務実態とのズレから、過少申告が日常化する虚偽申告は処分の対象にもなり、公務災害申請時の障壁にもなる。矛盾に押しつぶされない職場づくりの必要性に気付ける一冊。
(1728円 明石書店)
(矢)

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