日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

仲間と見合い磨き合う「授業研究」の創り方

16面記事

書評

「働き方改革」時代のレッスンスタディ
松村 英治 著
研究業務見直しつつ促す教師の成長

 「内発的な研究意欲がないにもかかわらず形式的に続けられる研究指定校としての業務」。児童・生徒の学びや健全な発達の観点から「必ずしも適切とは言えない業務」として、学校の働き方改革を実現する上で、見直す業務の一つに、文科省通知で何度か指摘されている。これは、もっともなことだろう。
 一方で、内発的研究意欲にあふれ、熱心に研究する学校が、求められる勤務時間とどう折り合いをつけるのかは、悩ましい。
 本書は、形式に流れがちな授業研究を活性化させ、授業研究に関連する業務の見直しを提案する点からも今日的な先駆性がある。
 「一人一人の教師の思考がアクティブになる校内研究」「参観者と語り合い、学び合える研究発表会」などは、多くの教員が求める理想の姿だろう。なぜ実現しないのか。
 公開授業を提案授業、話題提供授業へと名称変更する取り組みを示す。授業者自身の主体的な研究意欲を刺激し、職能成長を実感できる場になる。校長によるあいさつと講師紹介、膨大な数の指導案作成などを廃し、リフレクションシートを授業改善宣言へと変える。一方で、「朝活」の短時間に参加希望で教員同士で教え学ぶ会を開き、学び合いを深める。
 貴重な時間、限られた時間だからこそ、無駄にしない。試行錯誤の実践に基づいたアイデア、工夫に出合うことができる。
(2160円 東洋館出版社)
(矢)

書評

連載