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現代カリキュラム研究の動向と展望

16面記事

書評

日本カリキュラム学会 編
実践の課題など多角的に論ず

 日本カリキュラム学会設立30周年の記念出版事業として上梓の本書。53人の研究者が執筆し400ページを超す大冊は、カリキュラムが実践される多様な場、カリキュラム研究の方法等を、多角的に示し論じる。学校で、教育課程を検討・実践するとき、まことに役立つ内容が網羅された事典でもある。必要・関心に応じて読める編集である。
 本書は、3部構成で全39章の内容。第I部「カリキュラム理論の展望」、第II部が「カリキュラム実践の課題」である。続く第III部が「カリキュラム研究の方法」となる。カリキュラムは、「教育課程」の用語で全ての教師が承知。「教育課程は各学校が編成する」ことも知っている。だが“教育課程”と聞くと「学習指導要領」のことかと、思う人がいないではない。これでは、PDCA(計画・実践・評価・改善)はできないではないか。小学校で生活科が導入され、総合的な学習の時間が誕生したころの学校の動きと、その後の様子を思い出したり考えたりしたい。
 香川大学附属小学校の「小学校におけるカリキュラム」は、2領域カリキュラム(学ぶこと―教科学習、生きること―創造活動)と、4層構造(目的・内容・方法・集団)を示す。詳しくは、本書で確かめたい。いま、カリキュラム・マネジメントや教育課程経営の用語をしばしば聞く。各学校はどう対処するか。
(5060円 教育出版)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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