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隠れ教育費 公立小中学校でかかるお金を徹底検証

12面記事

書評

栁澤 靖明・福嶋 尚子 著
「公教育無償性の理念」目指す学校へ

 学校事務職員と教育行財政を専門とする研究者がタッグを組んで、公立の小・中学校でかかる費用について、検証を試みた。
 「義務教育は、これを無償とする」と日本国憲法第26条第2項に定められながら、さまざまな名目で徴収される公立小・中学校の教育費が少なくないことは周知の事実である。
 本書は学校指定品、補助教材、消耗品、部活動での負担、給食費、旅行や行事などをテーマアップし、6章にわたって取り上げた。これら一つ一つの「モノやコト」を「『そもそもなんで必要とされたの?』(歴史)、『いま、それってどのようになっているの?』(実態)、『どのようにあるべきと考えたらいいの?』(理念)、そして、『具体的にどうしていこうか?』(対策)」という視点から、解き明かす。
 学校が徴収する教育費以外にも、家庭に用意が要請されるさまざまなモノへの言及は、「見えない私費負担」の“見える化”である。「学校給食」が学校教育に位置付くならば、自分で食べてしまうものであっても、無償化の道がもっと開けていいと考えさせられる。
 著者らが提示する対策や実践例などによって「公教育無償性の理念」が自分の学校で実現できるかもしれない。学校の不思議に振り回されている保護者に気付きをもたらすだけでなく、慣習、慣例から教育費を徴収し続ける教職員も、自らの足元を見直す契機とすることができるのではないか。
(1980円 太郎次郎社エディタス)
(矢)

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