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第2版 学校内弁護士 学校現場のための教育紛争対策ガイドブック

12面記事

書評

神内 聡 著
教員目線で提示する紛争解決手法

 弁護士でありながら、私立学校に教員として勤務する著者が、2016(平成28)年に刊行した「学校内弁護士」の改訂版。「序章」に始まり、第1章「教育紛争の法的責任」と第2章「具体的な教育紛争の解決手法」で構成し、64の「Q」を立て解説した。
 文科省が「いじめの防止、校務の効率化・負担軽減」の効果を期待し、取り組んだ「スクールロイヤー」活用。一部自治体では導入が進む。著者は「スクールロイヤー」について「学校配置型」「教員兼務型」などのように日常的に教育現場に関わるスタイルを推奨する。現場目線でなければ、理解できないことがあるのを、教員経験から実感するためだ。
 例えば、学校事故が頻発する柔道や組み体操について。「高度な危険性が内在する行為をあえて学校の教育活動として実施を認めておきながら、一旦事故が起きれば教員に法的責任を負わせるというのは本末転倒」と、教育政策そのものの不備を指摘する。
 教育紛争の初期対応で保護者に「申し訳ありません」と言ってもいいか、学級担任として、いじめ相談を子どもから受けた時、優先すべきは守秘義務か安全配慮義務か…などの悩みに、弁護士でもあり、教員でもある著者が答える「解説」は、建前的な回答とは一線を画す。
 こんな同僚が隣にいて相談に乗ってくれたらと、思わずにはいられない。
(2640円 日本加除出版)
(矢)

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