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“学校のルーティン”を変えてみる 慣習にとらわれない教育活動の見直し方

16面記事

書評

齋藤 浩 著
これからの社会で必要な力を見据え

 「慣習」(ルーティン)を見直すということは、前例主義を取る学校であってみれば、その教育活動のほとんどが、その対象になる。
 本書では全校朝会、始業式、終業式、校門でのあいさつ運動、係活動、委員会、校則、修学旅行、運動会などを、全6章にわたり、見直し対象として言及した。
 例えば、校門での朝のあいさつ運動。校門ではあいさつするのに、校内の他の所で出会ってもあいさつできないのはなぜか。係活動は担当する係以外の児童が手伝うことを損なってはいないか。狭い校庭の小学校で「休み時間にボールを蹴らない」は本当に必要か。
 「ここまで、なぜ私が従来の定番を廃止するように主張するかと言うと、定番には挑戦もなければ新たな気づきもないからです」と、著者は述べる。
 課題に気付き、課題を解決していく主体的な関わりが求められる社会で、慣習の見直しは、子どもたちに自主性や判断力を含む必要な力を付ける契機になると、著者は考える。
 運動会のリレー廃止を教職員、児童の代表委員会で決めたものの、異論がくすぶり、校長判断によって児童総会の場で議論し、存続を決めた。以来、児童たちの「自分意識」が多くの取り組みでも高まった。
 新学習指導要領が目指す子ども像は、足元の教育活動を見つめ直すことでも実現できると、提起したユニークな一冊。
(2090円 学事出版)
(吹)

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