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子どもに寄り添うまなざし 春夏秋冬

22面記事

書評

学びの芽ばえを育む幼児教育
菅澤 順子 著
豊かな遊びと絵本の世界を通じて

 70歳を迎えた著者が私立保育園、公立保育所、私立幼稚園と関わり、春夏秋冬の全4章に分けて、その折々に出会った園児たちとの触れ合いをつづった。実践記でもあり、著者の思いが濃厚なエッセーとしても読める。
 子どもの成長を見逃さない、その成長を知ることでより良い保育に没入していく姿は、天職のようだ。
 機嫌が悪い朝、園の入り口で立ち止まる園児に、友達4人が自主的に関わり、登園を促す姿に感激する。さまざまな遊びを通して、仲間を大切にし、自立心を養い、自己肯定感を高めていく。そんな子どもたちの姿にたくさん出合える。
 日々の豊かな保育の営みが、卒園後にも関わろうとする子どもの様子や、園を離れた後でも関わりを持とうとする保護者の様子などにもつながっていく。
 豊かな遊びと、双璧をなすのは、絵本の世界と子どもたちとを上手に結び付けている点だ。物語の世界がまた、新たな創造の遊びへと深まっていく。
 関西の園を中心に活動し、1995(平成7)年1月の阪神・淡路大震災に遭遇した著者は、以後、「いのち、生きる」を軸にした幼児教育観の構築を目指してきたという。
 障害のある幼児への対応も含め、保育に携わる方たちには共感すべき点が多いのではないか。
(1870円 東京シューレ出版)
(徳)

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