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「少年」「少女」の誕生

17面記事

書評

今田 絵里香 著
雑誌を通じてたどる「子ども史」

 少年・少女雑誌と、「少年」「少女」概念はどのように生まれたか。また、その変遷はどうか。子ども史を知るための、貴重な一冊が本書。(ア)少年・少女雑誌は、どのように誕生したかを明らかにする(イ)少年・少女雑誌における少年・少女に関する“知”は、それぞれどのようなものであったか。著者(成蹊大学准教授・教育社会学)は、これらを明らかにする。

 序章・終章がついての3部構成の本書は、第I部が「『少年』『少女』の起源」で

 (1) 「子どものメディアから『少年』のメディアへ」
 (2) 「『少年』のメディアから『少年』『少女』のメディアへ」
 (3) 「大人と異なる存在としての『少年』『少女』へ」

 の三つの章で説く。

 第II部は、「『少年』『少女』の展開」(4章構成)で、

 (4) 「新体詩の名手と口語詩の名手」
 (5) 「少女雑誌のアイドルと少年雑誌のアイドルの不在」
 (6) 「あこがれの才色兼備のお嬢さま」
 (7) 「完全無欠の英雄」

 の章となる。

 そして第III部は「『少年』『少女』の変容と解体」(3章構成)だ。

 (8) 「都市新中間層の『少年』『少女』からあらゆる階層の『少年』『少女』へ」
 (9) 「『少年』『少女』から少国民へ」
 (10) 「『少年』『少女』の価値の喪失」

 が内容となる。本書は、メディア史(子どものメディア史)としても、貴重であると敬服。
(4400円 ミネルヴァ書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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