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アクティブラーニング入門3

12面記事

書評

現状を変える「振り返り会」で授業改善を進める
小林 昭文 著
高校での教科を超えた授業研修

 画期的な本が出版された。高校の授業改善の本であるからだ。これまでの学校現場の授業改善は、ある意味でいびつだった。小学校、中学校、高校と進むにつれ、教師の授業改善の姿勢が希薄になっていくからだ。
 本書56ページの<教科を超える「授業見学」「振り返り会」の意義と効果>を読んだらいい。高校でも教科を超えた授業研修が可能で、それが成果を上げることが書かれている。著者はこの結果を「怪我の功名」「瓢箪から駒」と謙遜されているけれど、なんと意義深い実践に基づいた主張だろう。
 小学校だけしか勤務しなかった評者は、中学校の授業を参観することは多々あったけれど、高校の授業は2回しかない。その高校の授業は、講義調のまさに「ワンウェイ」だった。
 本書には高校の授業研修の姿が書かれている。評者はその報告を読みながら、時代が確実に変わってきたと実感できた。さらにこの方向を強めていくには、著者が配慮している「授業者を傷つけない振り返り会」などが大切になる。
 本書は、<全て授業者同士が「主体的・対話的で深い学び」を実現する方法>を示した、今後の授業研修の必読書の一冊だ。本書をバイブルにして、授業改善に取り組む教師が増えることを評者は切に望みたい。
(1870円 産業能率大学出版部)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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