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文系のためのデータサイエンスがわかる本

18面記事

書評

高橋 威知郎 著
ビジネスの鍵握る先端分野の入門書

 最近ネットで何かを購入すると、その関連広告が次々に送られてくる気持ち悪さがないだろうか。これはどうか、これならどうかと、しつこい営業をAIにさせている。また、SNSの「いいね」を分析すると、その人の嗜好性や性格も読み取れる。このポイントは、情報の関連や質であり、それを活用して価値を出すこと。データサイエンスとは、データから有益な知見を引き出す学問である。
 IoTともなると物に通信機能を持たせれば、データが集約され、手段を導き出し発信することもできる。GAFAに代表されるこの動きが第4次革命であり、文系の経済、経営、法律、言語と容赦なく影響を受けることになる。よって情報を集めコントロールした者がビジネスを制覇することになる。Chapter4「データサイエンスがつくる未来」の「『読み・書き・そろばん』から『数理・データサイエンス・AI』へ」から読むと納得できる。
 世界で最も使われているOSはTRON。開発はあの坂村健氏、安定性もあり無償提供した。導入間際、米国の圧力によりWindowsが輸入され今がある。担当者として鮮明に覚えている。本書はそうした視点からも、ぜひ読んでいただきたい。世界の動向が危機感を伴って理解できる。著者は「令和」を創造する日本のチャンスと締めくくっている。御意。
(1430円 総合法令出版)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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