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学校現場発、これが本物の道徳科の授業づくり

16面記事

書評

主体的・対話的で深い学びの原点は道徳科の授業の中にある
平山 勉 編著
表情や声の調子の重要性にも言及

 本書は、第1章理論編で、1・教育方法学のすすめ、2・道徳の授業づくりをどのように進めるか、3・「考え、議論し、さらに深く考える」道徳科の授業づくり、4・人権教育の柱としての道徳科の授業。
 そして第2章は実践編で、小学校実践、中学校実践、特別実践。特別研究編で「教師の一人称映像と注視点に着目した授業研究」。第3章は、シンポジウム報告「激論 道徳をどう教えるか」―と構成されている。
 特に「教育方法学のすすめ」では、アルバート・メラビアンの「メラビアンの法則」を生かした実践的な理論で、言語による情報よりも、人々のしぐさや、声の調子、その表情などを通してコミュニケートされるものに意味があるということが紹介され、この点を忘れてはならないと指摘している。
 こういうポイントの置き方を見ても、本書が主体的・対話的で、実践的な深いものを求めていると思われるのである。特に各授業後の「平山勉のワンポイントアドバイス」を読んでも、シンポジウム報告の「教材『泣いた赤鬼』の授業を通して考える」の、基調提案者やシンポジスト各位の話し合いの記録を読んでも、それが生かされていると感じるのである。これが本物と銘打つのも宜なるかなと思わせる。多くの実践家に活用されてしかるべき労作であるとお薦めしたい。
(2530円 黎明書房)
(関根 正明・元山形大学講師)

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