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新型コロナ対策で無料動画まとめサイト、開発者の思いは

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 新型コロナウイルス感染対策の臨時休校対策として、児童・生徒が無料で自宅などから利用できる遠隔教育サービスが続々と現れている。
 このうち、高校の数学を手始めに、既存の学習向け動画を2500本ほど集め、自分が必要とする学習内容を無料で視聴できる教育プラットフォームを開発した米国の大学院生(27)に、休校期間中の過ごし方などを尋ねた。開発者は東京大学を卒業後、中央省庁に入省。現在は米国に留学中。
 このインターネットサービスは、「okedou」の名で、高校の数学を教える無料動画を2500本ほど検索し、自分で学べるようにしている。合わせて「okedic」の名で、公式や定理の説明を文章で読むことができる辞書機能を設けた。説明文は2人の開発者が書き上げたもので、要点に絞って解説した。
 両者は連動している。スマートフォンなどから利用可能。

 電子メールによる一問一答は次の通り。
 ―この教育プラットフォーム(「okedou/okedic」)はどのような動機で作ろうと思ったのでしょうか。
 自分が高校のときに田舎で苦しんだ経験もあり、高校教育の地方格差をなくしたい、もっと教育を個別化したい、という思いは大学時代から持っていました。ただ、自分がまず社会を良くしないと、教育を語る権利はないと考えて、ずっと悶々としていました。
 そんな中で、昨年末にたまたまYouTubeで、自分が受験した年の東大入試の数学を、鮮やかにわかりやすく動画で解説していたのを見たんですよね。受験の懐かしさよりも、「え?これ誰でも無料で受けられるの?」と強く衝撃を受けました。
 そこから色々調べると、いろんな方が熱意を持ってわかりやすい授業動画をたくさん出されている。「これで地方の高校生が救われる」と感じて、何か自分たちもお手伝いできないかと、すぐにエンジニアの友人にLINEで連絡して、色々とアイデアを出し合って行き、2人で作っていきました。そこから、「誰にでも開かれた教育の場」として、無料のサービスを提供し、教育格差を解消して行こうと考えたのがきっかけです。

 ―一斉休校期間中にこのサービスをどのように学習に生かしてほしいと思いますか。
 現在は数学のコンテンツを展開していて、数学の話になりますが、例えば高校受験を終えた中学3年生の皆さんには、高校生活でスタートダッシュを切るために、数学IAの「数と式」や「集合と論理」などの先取り学習をしていただいて、そこで貯金を少しでも作って、高校生活を充実させたものにしていただく、といった使い方をしてほしいなと思います。
 すでに複数の方々の動画を登録させていただいていて、絞り込み検索もできるので、自分が好きな先生から、好きなときに動画で学んでいくことができます。
 既に高校生の皆さまには、学校の先生から様々な宿題が出ていると思いますが、その宿題に取り組んでいてわからないことが出てきたとき、休暇中だと聞く先生がおらず、勉強を進めて行くのが大変と思います。そういうときに、このokedouやokedicでピンポイントにわからない部分を検索して、学んで行くことができます。
 また、高校数学というのは、どんどん内容が積み上げられていくので、宿題とは関係なく、今の期間を活かして、これまでによくわからなかった分野を復習しておくと、休み明けの高校授業の吸収度がとても上がると思います。
 こういった、学年に関係なく、自分にとって必要なものを検索して、学びたいときに効率よくスマホで学んでもらえることが、このサービスの目的ですね。スマホで、無料で漫画を読んだり音楽を聞いたりできる時代なので、勉強するモチベーションを維持するのが難しいと思いますが、寝っ転がりながらでも学べるので、あまり気を張らずに、隙間時間で、効率よく学んで欲しいなと思います。

 ―もし、ご自分が現在、日本の高校2年生だったら、学校再開までどのように毎日を過ごすと思いますか。
 ピンチをチャンスに変えて、受験勉強を始めていると思います。具体的には、習った範囲で入試対策の問題を解いたり、習っていない範囲の先取り(特に数学)をしたりしているかなと思います。
 とはいえ、周りに人がいないですし、自分は途中ですぐに集中力が切れると思います。また、このコロナによる一斉休暇を受けて、無料の漫画や音楽サービスも増えているので、そもそも机に向かう気力を失っているかもしれません。
 そういう時は、まずは寝っ転がりながらでも隙間時間で学べる、okedouやokedicのようなサービスを活用して、効率よく勉強していると思います。

 ―okedou/okedicという名前にはどのような意味を込めたのですか。
 「桶胴太鼓」という、上の面と下の面が何本もの紐で繋がっている太鼓があります。全国の先生と生徒がそのような形で、自由に結び付く場になってほしいという思いを込めて、okedouをまず名付けました。そこから、名前をつなげつつ、dictionaryと組み合わせて、okedicを命名しました。

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