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子どもの体力向上には何が必要?現状と課題と今後の取り組み

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特集 教員の知恵袋

 近年、子どもたちの体力低下が叫ばれています。スポーツ省が実施した「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」によると、特に小学生男子の体力合計点が下がっており、平成20年度の調査開始以降、過去最低の数値です。

 この問題は、子どもたちの未来のために家庭と学校が連携し、社会全体で考えなければならない重要な課題です。

子どもたちの体力と運動能力の現状

 現代の子どもたちは、食生活の改善によって発育が良くなる一方、体力・運動能力の視点からみると、筋力や反射神経が低下しています。

 文部科学省が昭和30年代から調査している「体力・運動能力調査」によると、子どもたちの体力は昭和60年代を境に低下していると発表がありました。親の世代にあたる30代以降の大人が子どもだった頃と比較して体力が落ちている背景には何があるのでしょうか。

体力を低下させている背景には何がある?

 子どもたちの体力を低下させている背景には、いくつかの理由があります。

(1)暮らしや生活環境が便利になったことによって運動する機会が減ったこと
(2)スポーツや外で遊ぶために必要な時間や仲間、遊べる場所が少なくなったこと
(3)学校や地域に適切な指導者がいない、または見つからない
(4)運動を楽しいと思わせる工夫や教員の経験不足など
(5)偏った食事や睡眠で生活習慣に乱れがある

 この5つの理由から子どもたちの体力低下を招いています。次の時代を担う子どもたちを成長させるために、家族や学校、自治体など社会全体で見つめ直さなければなりません。

・経済発展や少子化に伴う運動環境の変化

 商業施設や住宅などの環境開発によって、野原や空き地といった子どもたちが自由に遊べる場所が少なくなりました。さらに、公共交通の発達によって歩くことや自転車に乗る機会も減少しています。

 また、少子化よって習い事で忙しい友達と一緒に遊べないなど、複数人で外遊びをすること自体、難しくなっています。それらが複合したことによって、ゲームやテレビのような体を動かさない一人遊びの娯楽が子どもたちに定着しています。

・社会風潮からみる運動軽視の意識

 近年、社会の風潮が学力や知識偏重によって運動を軽視している傾向が見受けられます。一昔前では、家の手伝い、おつかいなどが体力を養うことに結びついていた時代もありました。しかし、今ではそのような機会も減り、体力の低下につながっています。

 ほかにも、「外遊びの時間を習い事に割り振る」「運動はスポーツの習い事だけ」といった運動自体に時間を割くことが少なくなりました。

 また、地域にスポーツ指導者がいないことや、運動やスポーツ本来の楽しみを教えるといった発達段階に応じて適切な指導ができる人材が少ないことも挙げられます。スポーツ・学校の指導者問わず、運動を楽しいと思わせる工夫や学び方を改めて考えなければなりません。

・不規則な生活習慣と運動不足との関連

 深夜テレビや家庭用ゲーム機の普及、家庭の事情などによって夜型の生活を送っていることも懸念されています。その生活リズムは睡眠不足を引き起こし、朝起きることができず、朝食を抜いて登校する子どもも珍しくありません。

 また、食事による栄養の偏りも体に悪影響です。栄養バランスが乱れることによって、肥満率が上がり、基礎体力や集中力の低下、肉体面や精神面でも発達の妨げにつながります。

体力向上にはどういう取り組みをするべき?

 子どもの体力向上に努めるためには、「運動する習慣作り」を幼児期から始めなければなりません。

 保育園・幼稚園では自発的に運動することの楽しさを覚え、学校では体育の授業で運動を楽しませる工夫を取り入れます。そして、学校外でも運動する機会を設けていくことが大切です。

・学校の教育プログラムを主体とする取り組み

 体力を向上させる点において、自発的に体を動かすといったプログラムやマニュアル作成は必要不可欠です。しかし、単に競わせる競技や自由に遊ぶといった内容では成長につながりません。

 運動する動機付けに、外遊びやスポーツをしたらスタンプカードにスタンプをもらうなど、楽しいと思える仕組みが求められています。自分のペースで運動に取り組み、成果を実感できたり、子どもたちで努力を分かち合ったり、小学校や中学校の指導者側でさまざまな工夫をすることも大切です。

・家庭と連携して取り組む生活習慣の改善

 子どもたちの体力向上には、生活習慣の改善も欠かせません。一緒に早寝早起き、朝、昼、晩の3食を意識した生活を心がけます。また、食事に関しては炭水化物に偏りには避け、肉や魚、野菜や果物をバランスよく摂取することで健康的な体を作り上げます。

 ほかにも、長時間のテレビ視聴やゲームの夜ふかしは睡眠不足の原因なので、極力控えます。日頃から徒歩や自転車で外出をするなど、一緒に体を動かす時間を設け、家庭環境で体を動かすといった取り組みが重要です。

社会全体で取り組む子どもたちの運動促進

 現代の子どもたちの体力低下に歯止めをかけるためには、社会全体で体力向上に取り組んでいくことが重要です。

 学校の授業だけではなく、地域行事の一環として運動を行うこと、行政や民間主催のスポーツイベントを開催するなど、バリエーションに富んだ運動の機会を子どもたちに提供することでも改善されていくと予想できます。

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