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教育・権力・社会 ゆとり教育から入試改革問題まで

16面記事

書評

大内 裕和 著
ここ20年の教育改革を問い直す

 “ゆとり教育から入試改革問題まで”と副題の付く本書。1999(平成11)年から、2020(令和2)年に至る「教育改革」を取り上げている。改革の流れを、太い柱と見立てるとしよう。それに、改革に即して、論評のくさびを打ち込むのが著者(中京大学教授、教育学・教育社会学)である。400ページ超えの本書は、その論評をまとめたものと読める。
 本書は二部構成、それに加えて“長めの<あとがき>”が付く。第一部は、「新自由主義と国家主義―ゆとり教育と教育基本法」で、(1)「『卓越性』の支配―『選択・責任・連帯の教育改革』批判」で論評はスタート。(2)象徴資本としての「個性」(3)教育をめぐる対話(4)近代教育への問い直し―など9章にわたる論評がまとめられている。教育がいかにあるべきかを考える。
 第二部は、「希望と絶望―政権交代と貧困」で、(1)「教育政策の行方―新自由主義・国家主義からの転換は可能か?」で始まり、(2)「『政治の時代』の到来」(3)「大阪教育行政―2011~2012」など7章にわたる批判・論評が載る。2019(令和元)年から翌年にかけての大学入学共通テスト・「英語民間試験の活用」問題、「『身の丈』発言の問題性」など、最近の教育問題についての“長めの<あとがき>”でまとめとなる。教育問題については、実践の場でも広角的な視界が必要と思う一冊だ。
(2420円 青土社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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