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乳児期における社会的学習 誰からどのように学ぶのか

16面記事

書評

奥村 優子 著
視線追従と獲得語彙の関係など検証

 子どもは生まれてから1歳までの間に、数多くの知識を獲得するという。誰からどのように学んでいるか、さまざまな実験によって、明らかにしようと試みたのが本書である。
 第1章で「乳児期における社会的学習研究の動向」を概観し、第I部「誰から学習するか―情報源としてのエージェント」(第2章~第4章)と、第II部「どのように学習するか―視線と言語という明示シグナル」(第5章~終章)とで構成した。
 特に、第1章では、知識と技能の伝達が大人(養育者)と乳児のコミュニケーションによって達成する「ナチュラル・ペタゴジー理論」を紹介。両者の間でコミュニケーションの合図となるのはアイコンタクト、対乳児発話、対乳児動作誇張、随伴的反応、名前の呼び掛けなどだ。
 実験では人の視線によって乳児の物体認識、物体を選ぶ際に「特異的に影響を与えることを実証した」。また、他者の視線を追従して物体を長く注視した乳児ほど、生後18カ月の時点で多くの語彙を獲得することも分かった。
 その一方で、ロボットの視線追従と音声発話によって、物体学習することも分かり、ロボットから学ぶ過程が明らかになると「ロボットが子育てや教育に関わる可能性が開かれる」。
 乳児の学びの不思議さが垣間見える。
(4950円 東京大学出版会)
(吹)

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