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危機に立つSNS時代の教師たち 生き抜くために、知っていなければならないこと

13面記事

書評

多賀 一郎 著
自身の炎上体験も踏まえ警鐘

 わずか5ページの前書きを読んだだけで、自らの姿勢を正さざるを得なかった。真剣な態度で読まなければ、と思うほど、本書の提言は重い。帯紙に記された「SNSから子どもを守り、自分を守れる教師に」との著者の思いが行間からにじみ出てくるからだ。
 第一章で著者はまず現状を解説する。思い当たる事柄が次々と出てくる。現代のネット社会で生じている多くの問題に学校の教育が全く機能していなかったことも指摘し、ネチケット教育(ネット上でのエチケット)の必要性を訴えている。同感である。
 第二章では学校現場におけるSNSの実情と課題が解説される。子どもを守り、自分を守るために、「新しい時代になっているということを認識する」大切さを強く訴えている。知らないでは済まされない時代なのだ。
 以下、五章まで多くの課題を解説してくれているが、特に第三章では、著者は自らの炎上体験を語っている。言葉の吟味が不十分だったために真意とは懸け離れた誤解を招いた事例を示して、注意を促してくれている。
 評者の現職時代にはSNSは知らなくても不自由はなかった。遠い話とうそぶいていてもよかった。しかし、本書では「無知は自慢できない」という。評者同様、その道に暗い方にとっては絶対に読んでおいた方が良い。何よりも自分を守るために、である。
(1980円 黎明書房)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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