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教師の引き算仕事術

20面記事

書評

山中 伸之 著
発想の転換で「ゆとり」生み出す

 本書のCHAPTER1で、「先生のためのマインドチェンジ」が10の視点から述べられている。それぞれ見開きでNGマインドとOKマインドを示す。その中でも、「『できない子』が気になる」NGと「『できない子』がいていい」のOKの対比が興味深い。
 NGはできない子に対して「なんとかしたいという思いが強すぎて、できない子にとって負担になる」と警告する。いわば教師の善意の押し売りで自己満足でもある。これに対してOKの方はどうなるか。
 <誰にでも得意不得意があります。不得意なことが多くても幸せに過ごしている人もいます。できないからといってその子の価値が下がるということはありません。学力は子供の属性の一つです。属性の部分だけでなく、その子の存在そのものを教員が大事にしてあげればいいのです。「できない子がいていい」というゆとりのある考えも、指導の上では大事です>
 卓見である。ここまで達観できれば、例えば感情的なこじれから生まれる体罰などは減るに違いない。
 相変わらず学校現場では多忙化が問題になっている。しかし本書のタイトルのように引き算の仕事術を意識すれば、ゆとりが生まれるはずである。いや生まれなければならない。
(1870円 学陽書房)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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