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子供がこえる学び

20面記事

書評

東京学芸大学附属小金井小学校 編著
学習環境デザイン、教科の事例紹介

 教員養成大学・学部の附属学校の刊行物については、注目したいものが多い。本書もその一つである。
 同校の前身は、東京府豊島師範(東京二師)附属小である。戦災で校舎焼失、小金井の地に移って約70年。学校づくりとともに、教育の実践研究を進めてきた歴史がある。
 本書は3章構成で、「『こえる学び』について」(第1章)に始まる。学習環境デザインの追究、「没頭」「実践」「往還」を意図した各教科・各授業の実践研究や、教員がそれぞれ研究テーマを持っていることにも注目したい。
 全国各地には、戦災移転・統合の歩みを続けた附属小がある。それぞれが、実践研究校としての歩みを続け、その成果は、初等教育の場で活用されていいのだが、この辺りの現実は厳しいようだ。教育行財政や人事等の面で、附属学校は世間が思うほどに楽観できる状況にない。それを克服しているのは、各校の歴史と伝統と言えそうだ。
 小金井小については、評者はかつて豊島師範の成田千里校長夫妻の評伝を読んだ。そして、先輩たちのまいた種が見事に成長した。その成長の過程は、「『こえる学び』の実践」(第2章)だ。各教科の実践事例が約20例。そして、この学校の生活(年間)の紹介が第3章にある。
(2200円 東洋館出版社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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