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北欧の森のようちえん 自然が子どもを育む

19面記事

書評

デンマーク・シュタイナー幼稚園の実践
リッケ・ローセングレン 著
ヴィンスルー美智子・村上 進 訳
発達を支える適切な枠組みなど論ず

 自然は、子どもたちがさまざまなことを試しながら成長できる絶好の環境。自然の中で自由に遊べる空間と時間が与えられることで、心も体も健康な存在へと成長していく。北欧には、1日を自然の中で過ごし、シュタイナー教育の理念に基づく保育を行っている幼稚園や保育園がたくさんある。
 本書は、デンマークにある森のようちえん・シュタイナー幼児教育施設「こども島ボンサイ」の共同設立者・園長のリッケ・ローセングレン氏が、同園での保育者たちの経験とその振り返りから得られた考察に基づいて書かれている。そして「なぜ、自然が子どもの発達のために健康的で刺激的な学習環境だと言えるのか」という理由に迫るとともに、「子どもたちが生来持っている好奇心と動き回ることへの自然な要求について」や「日々、子どもたちの発達を支える適切な枠組みを大人がどのように作り出すか」について詳しく述べられている。
 日本国内にも全国各地に「森のようちえん」が作られているだけでなく、多くの幼稚園・保育園・認定こども園が自然豊かな園庭を整備したり、近隣の散歩や公園での遊びを通して動植物と触れ合えるようにしたりするなど、子どもたちが身近な環境にある自然と触れ合えるように工夫している。そこでの体験が成長を支えるものになるように保育者自身が考え、創造的に保育の中に生かすために参考になる一冊だ。
(2970円 イザラ書房)
(秀)

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