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日本人学校のコロナ対応 ICT駆使、学びの保障へ

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 世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。国内の学校では先月末で臨時休業はほぼ解消したが、海外の日本人学校は、全体としては日本よりも厳しい状況にある。それでも、情報通信機器(ICT)を駆使するなどして、子どもたちの学びの保障に努めている。

渡航できぬ教職員オンラインで授業

 文科省によると、各国にある全日本人学校95校のうち、新型コロナウイルスによる長期休業を終え学校を再開したのは、6月12日時点で38校となっている。また全日本人学校に在籍する児童・生徒約1万7千人のうち、約4千人が今回の新型コロナウイルスによる影響で日本へ帰国したと推定される。
 一時帰国した児童・生徒の扱いについては日本の公立学校への一時的な転入学や、日本人学校が配信するオンライン授業に参加してもらうなどして対応している。居住国に戻るめどが依然として立たないこともあり、各国の入国規制が緩和され次第、順次渡航するなどのケースが多いという。
 本年度から各国の日本人学校に派遣予定だった教職員は484人。96%以上の465人がまだ赴任先に渡航できていない状況で、引き続き国内で出発に向け待機しているという。赴任校によっては日本からオンライン授業に参加したり、現地の教職員と連絡を取ったりするなどして対応を行っている。

シカゴ、8月再開
 感染者数・死者数が一番多いと推定されている米国。シカゴ日本人学校では6月15日現在、休業が続いている。8月24日から2学期を再開する予定だ。これまで小学部は一日4時間、中学部は5時間ずつ、オンラインで授業を行ってきた。
 本年度は予定していた運動会や校外学習、現地校との交流学習は中止とした。修学旅行は、状況を判断しながら検討するとしており、学芸会の内容についてもオンラインで保護者への発表を中継することなどを検討しているという。
 新校長を含めた5人の新たな派遣教職員はまだ現地に赴任できていない。そのため日本からオンラインで子どもたちに向け授業を行うなどの対応を取っている。現在、現地にいる派遣教職員は8人だという。
 若林寿教頭は児童や生徒、保護者とのやりとりから、「オンライン授業があってありがたい」などの声を聞くとしながら、「これまで実施していたスクールバスでの登校の仕方の見直しや校舎内でのソーシャルディスタンスの確保など、再開に向け検討すべき点が多くある」と話した。

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