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学校ガバナンス改革と危機に立つ「教職の専門性」

16面記事

書評

浜田 博文 編著
教育改革の問題点と再構築を追究

 書名に、二つのキーワードがある。(ア)「学校ガバナンス」と、(イ)「教職の専門性」である。近年の学校ガバナンス改革において、教職の専門性は劣位に置かれているのではないか。

 (ア)のガバナンスは、公的事業の主体を官の専有から民に開放し、民による共同統治のもとに置くことを含意。

 (1) 学校評議員制、地域運営学校
 (2) 学校評価の法制化
 (3) 民間人校長
 (4) 地方教育行政の首長権限強化

 などが、学校ガバナンス改革の主な内容である。

 (イ)の教職の専門性は、1990年代以降、「省察的実践家」論が受容されている。教職の実践は、不確実な問題状況に一定の意味を与え、「問題の設定」を行う「行為の中の省察」によって成り立つと考えられるようになった。一方、日本の教師教育政策は、“実践的指導力”に向く。実務即応的な問題解決を重視する教員のありようと見て取れないか。「実践志向」の教師教育政策は、省察を表層的な“振り返り行為”にとどまらせてしまっていないか。
 さて、これだけの問題状況に対処の本書は四部構成、第I部が、「ガバナンス改革の中の学校と教職」。続く第II部が、「学校ガバナンス改革の事例における『教職の専門性』」。第III部が、「危機に立つ『教職の専門性』」、「『教職の専門性』の再構築へ」(第IV部)。編著者(筑波大学教授)を中心に、9人の研究者が分担執筆。
(3850円 学文社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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