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校長の覚悟 希代の校長5人に問う、校長のなすべきこと

20面記事

書評

『教職研修』編集部 著
試行錯誤、失敗も含めて率直に語る

 本書には、「すべての子どもの学習権を保障する」を、最上位目標に据えて取り組んだ学校、「トップダウン型」ではなく、「サーバント・リーダーシップ」の手法を用いた学校、校則をなくし、「自分で考え行動できる人材の育成」を目指した学校など、希代の校長5人が登場する。いずれも、教員出身の校長であるだけに、一層興味深い。
 なぜ、この校長は学校改善を成し遂げることができたのか、その根底にある校長の「覚悟」を問うたのが本書である。
 「覚悟」という言葉からは、評者は例えば厳しく険しい表情や態度を思い浮かべてしまう。しかし、どの校長にも、そうした気負いは感じられない。「かわること」「かえること」に自然体で向き合っている。穏やかで、なんだか楽しそうである。その持ち味が学校改善につながったのかもしれない。
 「あの校長だからできた」「あの学校(地域)だからできた」と言われることはよくある。本書はそのハードルを越え、5人の校長が、自身の試行錯誤や失敗を忌憚なく述べながら、校長のなすべきことを率直に語っている。全国の校長に向けてのメッセージである。
 本書を読んで、自校独自の取り組みを行うことが重要だ。そのためには「覚悟」が必要であろう。まさに、全国の校長の「覚悟」を問う貴重な書であると思う。
(2200円 教育開発研究所)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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