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東京都立工芸高等学校の屋内プール天井改修に「不燃膜天井システム」を採用

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柔軟な樹脂シートで形状に合わせて設置できるのも膜天井の長所

柔軟な素材で複雑な形状に対応、明るい装いの屋内プールに
株式会社スタジオバッテリー

校舎内にある屋内プールの耐震化対策として
 東京都立工芸高等学校は、創設から100年以上の長い歴史を誇る工芸・デザインを専門に学ぶ学校として、エンジニア、デザイナー、ディレクターといった、ものづくり日本を支える「作り手」を生み出している。
 校舎は都心ならではの立地を生かし、地上9階、地下2階のエレベーター完備・全館冷暖房完備だ。その中で、今回の1階にある室内温水プール(25mプール、天井高最大4・4m)の天井改修は、築24年経った校舎の非構造部材の耐震化を目的に実施された。
 改修前の天井はアルミパネルを敷いた吊り天井式で、金物なのでそれなりの重量があり、落下した場合は危険も伴う。東日本大震災では、こうした天井材が崩落する事故が多く発生しており、文部科学省は各学校設置者に対して屋内運動場等の天井などの総点検と落下防止対策の推進を要請している。
 こうしたなか、不燃性のガラスクロス製シートと小型化された独自のレールで天井を張る不燃膜天井システムは、「特定天井」の基準を大幅に下回る2kg/平方m以下を実現しているため、たとえ落下しても衝撃が少なく、高い安全性を実現。しかも、柔軟な素材によって地震時の振動を吸収しやすく、従来の天井材に比べて落下しにくい特性を持っていることから、全国の体育館や武道場、屋内プール等の天井改修に採用するケースが増えている。

吊り天井を軽量で安全な膜天井に改修
 そんな不燃膜天井システムを同校の屋内プール改修に採用した理由について山田氏は「従来のアルミパネルを使った天井は、少し暗い印象がありました。その点、膜天井ならプールに必要な天井高を確保できるとともに、シートの白さから水の反射もゆるやかに感じられるなど、見た目も明るくなると考えました」と語る。
 実は、現在工事を進めている5階の武道場・剣道場の天井改修には軽量天井材を使っており、同社が膜天井を採用したのは今回が初めて。その点について尋ねると、「膜天井は屋内プールのような広い空間でも、軽くて丈夫な天井がつくれるのが大きな魅力です。プール用の軽量天井材もありますが、1つ1つパネルになっているので、見た目の感覚的にもフラットな膜天井の方が安心感があり、シャープで美しい天井面を表現することができると思いました」と強調した。
 また、同校の屋内プールの天井は蒲鉾型をしており、当初は掘り込み部分だけ軽量天井材を使うことも視野に入れていた。しかし、リフォジュールの膜天井システムはデザイン形状に合わせて調整できることを知り、そのまま全面を膜天井で施工することに決めたという。

下地材が少なく、工期を短縮できる魅力も
 もう1つ、学校での改修工事は授業や部活動に影響するため工期が厳しくなる場合が多いが、膜天井システムは従来の天井材と比較して下地材が圧倒的に少ないことから、工期を短縮できるメリットがある。「特に今回の屋内プールは校舎棟と一体化しているため、資材の搬入に警備員を配置することや、学校生活を妨げる工事音などにも気を配る必要がありました。そうした点でも、スピーディーに施工できる膜天井は向いており、実際にこの改修工事も工期内に余裕をもって進めることができました」と評価した。さらに、膜天井の樹脂シートは天井の内部に湿気を通さないため、屋内プールの場合は内部の下地材などの腐食を軽減できる効果もある。


不燃膜天井に改修し、安全かつ明るくなった1階の屋内プール

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